SPECIAL ADVERTISING SECTION

PHVが拓くこれからのモビリティ

Vol.3 神戸大学経営学研究科教授 尾崎弘之さん
次世代エコカーが日本の環境ビジネスを牽引する

2015年11月02日(月)11時15分

さまざまな分野で優位性を誇る日本の環境ビジネスは、成長戦略において重要な役割を果たすことが期待されている。次世代エコカーもその1つで、特にプラグインハイブリッド車(PHV)は、世界の環境規制が強化されるとともに、国内外で大きな注目を集めている。「次世代エコカーは成長産業」と標榜する神戸大学経営学研究科の尾崎弘之教授が、PHVをはじめとするエコカーが将来の自動車社会にどのような変革をもたらし、その製造技術が日本経済にとっていかなる意味を持つのかを語る。

尾崎弘之さん

──世界的な潮流となっている低炭素社会の実現には自動車産業全体としての取り組みが不可欠ですが、エコカーが急速に普及している現状をどうご覧になりますか。
 日本の運輸部門のCO2排出量は、2001年の約2億5900万tをピークに減少し、13年には2億2500万tに低下しました(※1)。他のセクターと比べて減少幅が大きいですが、物流の効率化、高速道路整備による首都圏の渋滞緩和、プリウスをはじめとするハイブリッド車(HV)の普及、ガソリン車の燃費向上などがその要因でしょう。欧州も力を入れていますが、エコカーの技術力で日本が世界の先頭を走っているのは間違いありません。そして自動車産業が車の排出するCO2削減に全力で取り組むのは、今後も継続すると思います。

──環境ビジネスのさらなる活性化とその技術の海外移転は、日本の経済立国にとっても重要なテーマとなっていますね。
 私が委員をしている環境省の環境成長エンジン研究会では、「再生可能エネルギー」と「省エネ建築」、そして「次世代エコカー」を成長の柱として注目しています。次世代エコカーとは、HV、PHV、電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)、クリーンディーゼルで、その14年の販売台数は108万台(※2)。これは全自動車販売台数の17%ですが、登録台数としては全体の6.7%に過ぎません。逆にいえばエコカー普及の余地はまだ大きいということです。買い替え需要に依存する日本の自動車産業は成熟産業だといわれますが、次世代エコカーに関しては成長産業だと考えられます。

──次世代エコカーのなかで、PHVについてはどのように評価されますか。
 私はPHVを「HVの進化形」ではなく、「乗って安心なEV」として捉えています。EVの普及がまだそれほど十分とは言い切れない大きな要因は、充電に手間がかかることですが、PHVに搭載されているバッテリーはEVのバッテリーよりも小さいため、短時間で充電できる。短時間で必要な分だけ充電し、その電力で走行もし、充電した電力を使い切ってもPHVはガソリンでも走れるため、長距離にも対応できます。PHVを「バッテリー切れの不安がないEV」という考え方をすると、これまでに存在しなかった新しいタイプの車だといえるのではないでしょうか。

MAGAZINE
特集:生存戦略としてのSDGs
特集:生存戦略としてのSDGs
2024年4月 2日号(3/26発売)

サステナビリティーの大海に飛び込んだ企業の勝算を、経営学者・入山章栄とSDGs専門家・蟹江憲史が読み解く

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    「私はさそり座の女...」アン・ハサウェイのゴスな大胆衣装にネット震撼

  • 3

    日本で車椅子利用者バッシングや悪質クレーマー呼ばわりがなくならない理由

  • 4

    大谷翔平の今後の課題は「英語とカネ」

  • 5

    エスカレートする中国の暴力──放水銃を浴びる船内映…

  • 6

    「こんなに速いのか...」白昼の街でクマ激走の恐怖 …

  • 7

    日本の自衛隊、西太平洋への進出を窺う中ロ艦船の監…

  • 8

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 9

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 10

    「大谷翔平に賭けて大儲け」 海外で人気のスポーツ賭…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 3

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴を上げ、「見た瞬間に鳥肌!」 奇妙な生物の正体は?

  • 4

    ウクライナは本当に負けてる? ロシアが犯した「5つ…

  • 5

    日本製鉄によるUSスチールの買収・子会社化...「待っ…

  • 6

    少女の髪の毛をかき分けると...もぞもぞ蠢く「シラミ…

  • 7

    ウクライナ軍のドローンに悩むロシア黒海艦隊...「地…

  • 8

    「私はさそり座の女...」アン・ハサウェイのゴスな大…

  • 9

    左右に並ぶ「2つの顔」を持って生まれたネコが注目を…

  • 10

    ロシア空軍が「自国の村」コジンカを爆撃...ウクライ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    「朝の歯磨きは食前・食後?」 歯科医師・医師が教える毎日の正しい歯磨き習慣で腸内環境も改善する

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシ…

  • 5

    大阪万博、大丈夫?予言されていた「荒井注」化の危…

  • 6

    「完璧に保存された」ローマ文明以前の古代の墓...発…

  • 7

    野原に逃げ出す兵士たち、「鉄くず」と化す装甲車...…

  • 8

    『オッペンハイマー』日本配給を見送った老舗大手の…

  • 9

    健康長寿の一歩、年齢に負けず「長く続けるための」…

  • 10

    何をした? ロバート・ダウニー・Jr、助演男優賞で初…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中