コラム

鉛筆やフォークを持てない、1人でトイレにも行けない...子どもの発達は所得格差に相関するのか

2026年01月13日(火)16時00分
フォークとナイフでパスタを食べる子ども

カトラリーの使い方は早期に習得しておきたい技能の一つだが Irina WS-shutterstock

<イギリスでは4~5歳の子供に、音楽に合わせて粘土をこねさせ、指の力と器用さの向上を狙うなど、さまざまな取り組みが行われているが>

[ロンドン発]「なぜ英国の学校は子供たちにナイフとフォークの持ち方を教えているのか――基本スキルを欠き、教室での学習準備が整っていない5歳児が英イングランドで急増している」と英紙フィナンシャル・タイムズ(1月10日付)が報じている。

【動画】子供にナイフとフォークの使い方を教える動画

FT紙によると、イングランド北西部ロッチデールの小学校では毎日午後、休み時間が終わって4~5歳の子供たちがそれぞれ教室に戻ってくると粘土が配られる。子供たちは5分間、音楽に合わせて粘土を丸めたり、伸ばしたり、こねたりする。


ナイフやフォーク、鉛筆を持つ指の力が備わっていない子どもたちが増えている。1人でトイレに行けない、自分のコートをフックに掛けられない、自分の名前さえ認識できない子どももいる。粘土遊びは子どもたちの指の力と器用さを高めるためだ。

「スクール・レディ」の5歳児を75%に引き上げる

スターマー英政権は子どもの人生の悪循環を断ち切り、すべての子どもに最高のスタートを切らせる野心的なビジョンを掲げている。就学準備が整った「スクール・レディ」の5歳児の割合を75%(年4万~4万5000人)に引き上げる目標だ。

スクール・レディとは、数を数える、じっと座っている、他人と共有できるといった発達の目安。英研究財団ネスタによると、昨年12月時点でスクール・レディとみなされる5歳児は68.3%。基準に達しない児童は会話、読解力、算数のスキル習得に問題が生じる恐れがある。

無償給食を受ける貧しい家庭の子ども(スクール・レディの割合は51%)とそれ以外の裕福な家庭の子ども(同72%)の発達格差は例年に比べ少し開いた。無償給食児童の中で男子(同44%)は女子(同59%)よりスクール・レディの割合が低かった。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国務長官、ミュンヘン安保会議出席へ 米代表団50

ビジネス

アポロ、xAI関連の事業体に約34億ドル融資へ=報

ビジネス

米消費者の1年先インフレ期待低下、雇用見通し改善=

ワールド

トランプ政権、解雇された連邦職員の異議申し立て制限
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業績が良くても人気が伸びないエンタメ株の事情とは
  • 4
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「二度と見せるな」と大炎上...女性の「密着レギンス…
  • 8
    韓国映画『しあわせな選択』 ニューズウィーク日本…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 3
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予防のために、絶対にしてはいけないこととは?
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 6
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 7
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 8
    エヌビディア「一強時代」がついに終焉?割って入っ…
  • 9
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story