コラム

「前線はあらゆる場所にある」...史上初のMI6女性長官が警告する、テクノロジーと安全保障の関係性

2025年12月16日(火)17時00分

新たな脅威に対処する人とテクノロジーの重要性

この日、ベルリンではウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領、英仏独首脳、スティーブ・ウィトコフ米特使らによる緊急サミットが開かれた。欧州には「パックス・アメリカーナ(米国による平和)の大部分が終わった」(メルツ氏)という厳しい現実認識が広がる。

サイバー攻撃によりジャガー・ランドローバー(JLR)は推定19億ポンド、マークス&スペンサー(M&S)は3億ポンドの損害を受けた。ロシアはサイバー攻撃やドローン(無人航空機)、放火、破壊工作を用いて欧州にハイブリッド戦争を仕掛けていると非難されてきた。


メトレウェリ氏は「私たちは今、平和と戦争の間の空間で作戦行動を行っている」と表現し「ロシアは戦争の境界線のすぐ下の戦術を用いてグレーゾーンで私たちを試している」「前線はあらゆる場所にある」と警告した。

「技術の習熟は私たちの活動すべてに浸透していなければならない。研究所だけでなく、現場や諜報活動、さらに重要なのはすべての職員の考え方においてだ」と国家安全保障上の新たな脅威に対処する人とテクノロジーの重要性を強調した。

「戦場から会議室、そして私たちの脳の中で争われている。偽情報が私たちの相互理解を操作しているからだ」と述べ、物理的な領域を超えた認知戦への危機感を露わにした。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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