投資・資産運用
投資

【銘柄】「ファナック」は新時代の主役か...フィジカルAIの覇権争いで投資家が期待を寄せる理由

2026年02月28日(土)07時55分
佐々木達也(証券アナリスト、金融ライター)
ファナック

フィジカルAI関連株の大本命と期待されるファナック THINK b - stock.adobe.com

<AIの進化により製造業界は歴史的な局面を迎えている。「フィジカルAI」が実現する新たな収益モデルでプラットフォーマーへと変貌しつつあるファナックが長年の秘密主義を破った狙いとは>

「フィジカルAI」への移行が意味するもの

AIの覇権争いが続く中、2026年にかけて、その主戦場がデジタル世界からフィジカル(物理)世界へと劇的に移り変わりつつあります。

これまで生成AIが学習・推論してきた膨大なデータは、主に巨大なデータセンターで計算され、そこからパソコンやスマートフォンといったデジタル端末を通じて提供されてきました。

しかし昨今では、現実空間の物理データをもとに、ロボットや自動運転車などの端末(エッジ)側でリアルタイムに処理・実行を行う「フィジカルAI」へのシフトが鮮明になっています。これは、情報の生成から「物理的な動作」の生成へのパラダイムシフトとも言えそうです。

アメリカの半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、1月に開催されたダボス会議で、「人工知能は人類史上最大のインフラ構築の基盤」だと述べ、「ロボティクスは一世代に一度の機会」になると断言しました。

これは単なる技術トレンドの話ではありません。世界の製造・物流業界が、AIという「知能」を得て再定義される歴史的な局面を迎えています。

例えば、高度なフィジカルAIを搭載した産業用ロボットは、工場のレイアウトを仮想空間で完璧に学習し、センサーやカメラによる「視覚」を通じて人間と共働しながら、複雑な作業をミリ単位の精度でこなします。

自動運転車においては、街中のセンサーと車体が密に通信し、目的地まで「事故ゼロ」で人を運ぶ──こうした世界が、もはやSFではなく、収益を生むビジネスモデルとして動き出しているのです。

ファナック、新時代のプラットフォーマーへ

世界のフィジカルAIの市場規模は、2025年に54億1000万ドルに達したと推定されており、さらに2034年までに約611億ドル、年平均成長率(CAGR)31.26%という大きな成長が見込まれています(プレシデンス・リサーチ社の調査による)。

こうした中、株式市場ではAIによる収益基盤への影響が懸念されるSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)関連株が売られ、反対に、AIのハードウェアやロボティクスに関連する銘柄に資金が流入しています。

なかでも注目したいのが、FA(工場自動化)メーカーのファナック<6954>です。

ファナックの株価チャート

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがドローン・ミサイル攻撃、ハルキウで少なくと

ワールド

トランプ氏、イランとの交渉「関心ない」 全指導者排

ワールド

アングル:ベトナム、新興国格上げ目前に海外資金流出

ワールド

アングル:メキシコ「麻薬王」拘束作戦の立役者、家族
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 2
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 3
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 6
    女性の顔にできた「ニキビ」が実は......医師が「皮…
  • 7
    大江千里が語るコロナ後のニューヨーク、生と死がリ…
  • 8
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 9
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 10
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中