ニュース速報

ワールド

ロシア空軍2基地にドローン攻撃、ウクライナもロ軍再攻撃で各地に被害

2022年12月06日(火)09時32分

ウクライナ各地でロシア軍による新たなミサイル攻撃があり、大規模な停電が発生した。5日、ロシア軍のミサイル攻撃を受けたウクライナ・ザポロジエ州で撮影(2022年 ロイター/Dmytro Smolienko)

[キーウ 5日 ロイター] - ウクライナ各地で5日、ロシア軍による新たなミサイル攻撃があり、一部地域が再び停電に見舞われた。一方ロシア国防省は、モスクワ南東リャザニ州と南部サラトフ州の空軍基地2カ所がウクライナのドローン(無人機)に攻撃され、3人が死亡したと発表した。

ウクライナへの再攻撃は数日前から予想されていたものの、これまでに受けたインフラ被害が修復され緊急停電が終了する予定の矢先の出来事だった。この攻撃により、一部地域では気温が氷点下になる中で停電に見舞われた。

ゼレンスキー大統領はこの日、ロシアのミサイル攻撃で少なくとも4人が死亡したと述べた。ロシア軍が発射したミサイル約70発の大半は撃ち落としたとも語った。[nL4N32V2WT]

また「多くの地域で緊急停電を実施する必要がある」とし、「安定回復のために全力を尽くす」と強調した。

米政府は石油・ガス業界の幹部との会議を8日に開き、ウクライナのエネルギーインフラをどのように支援できるかについて協議する見通し。ロイターが関連文書を確認した。

ウクライナのティモシェンコ大統領府副長官によると、ザポロジエ州ではロシアの攻撃で2人が死亡し、複数の住宅が崩壊した。

当局者らは首都キーウ(キエフ)、中部ビンニツァ州、南部オデーサ(オデッサ)州、北部スムイ州のエネルギー施設にも攻撃があったとした。

ウクライナと国境を接するモルドバの警察は5日、ウクライナとの国境付近でミサイルの破片を発見したと発表した。

<ドローン攻撃>

ロシア国防省によると、リャザニ州のジャギレボ空軍基地とサラトフ州のエンゲリス空軍基地がウクライナのドローン攻撃を受け、軍事要員3人が死亡した。その他4人が負傷したほか、航空機2機が軽い損傷を受けたという。

同省は、低空を飛行していた無人機を撃墜したとし、長距離飛行の妨害を目的としたテロ行為だと批判した。3人の死者はモスクワの南東185キロにあるジャギレボ空軍基地で報告されたという。

ウクライナは関与を直接認めていないが、同国が仕掛けたのであれば、2月24日にロシアがウクライナに侵攻して以来、ロシア深奥部に最も近い攻撃となる。

エンゲルス基地はモスクワの南東約730キロに位置し、ロシアの空輸核戦力を収容する2つの戦略爆撃機基地の1つ。

米紙ニューヨーク・タイムズはウクライナ政府高官の話として、ロシア国内2カ所の基地にウクライナ領土内から発射された無人機の攻撃があり、そのうち1カ所で航空機2機以上が破壊され、その他の複数の機体が損傷を受けたと報じた。

ウクライナ軍はこれまでに同国南部・東部に及ぶ1100キロの前線をはるかに超えるロシアの戦略的標的を攻撃する能力を高めていることを実証している。

サラトフは最も近いウクライナ国境から少なくとも600キロ離れている。ロシア側からは、ウクライナがロシア国内をそこまで深く攻撃できるなら、モスクワを攻撃することも可能との見方が出ている。

これまでに起きた原因不明の爆発は、ウクライナに近いロシア国内の武器庫や燃料庫のほか、2014年にロシアが併合したウクライナ南部クリミア半島で少なくとも7機の戦闘機が撃墜されるなどだった。

ロシア国防省は一方、報復措置として、ウクライナのエネルギーおよび軍事関連施設などに対し、精密誘導兵器による「大規模攻撃」を行ったと認めた。計17カ所の標的全てに到達したとした。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中