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北朝鮮がICBM級の弾道ミサイル、米本土への到達能力も

2017年11月29日(水)16時41分

 11月29日、北朝鮮は同国西岸から弾道ミサイルを発射した。写真は同国旗。ジュネーブで2014年10月撮影(2017年 ロイター/Denis Balibouse)

[東京/ワシントン 29日 ロイター] - 北朝鮮は29日未明、同国西岸から大陸間弾道弾(ICBM)とみられるミサイル1発を発射した。ミサイルは高度4000キロ以上に達し、53分程度飛行、日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。通常の打ち方をすれば米国東海岸まで届いた可能性がある一方で、ICBMに必要な大気圏への再突入技術などを確立できたかどうかは不明だ。

北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのは約2カ月半ぶり。同日午後に国営メディアを通じ、新型ICBM「火星15」の発射実験に成功したと発表した。今年7月に発射した「火星14」の発展型とみられ、米国全土への到達が可能としている。金正恩・朝鮮労働党委員長は発射の成功を見届けた後、同国がミサイル技術を確立し、核兵力を完成させるという目標をついに実現したと宣言した。

日米韓各国とも、ミサイルはICBMの可能性が高いと分析。日米首脳は電話会談を開き、連携して北朝鮮に圧力をかける方針や、中国の役割の重要性などを確認した。トランプ米大統領はホワイトハウスで記者団に「われわれがこの状況に対処していく」とした上で、北朝鮮に引き続き厳しい姿勢で臨む考えを示した。

安倍晋三首相は官邸で記者団に対し、「国際社会の一致した平和的解決への意思を踏みにじり、このような暴挙を行ったことは断じて容認できない」と非難。「国際社会は団結して制裁措置を完全に履行していく必要がある。圧力を最大限まで高めていく」と語った。韓国軍は北朝鮮のミサイル発射直後、対抗措置としてミサイル発射訓練を行った。

国連の安全保障理事会は日本時間の30日朝に緊急会合を開くことを決めた。ティラーソン米国務長官は「現行のすべての国連制裁を実施することに加え、国際社会は(北朝鮮への)海上交通を阻止する権利など海洋安全保障の強化に向けた追加措置を講じる必要がある」との声明を出した。米国は今月20日、北朝鮮をテロ支援国家に再指定している。

<飛距離はICBM級>

ミサイルは午前3時18分ごろ発射。約1000キロ飛行し、午前4時11分ごろ、青森県の西方約250キロの海域に落下した。通常よりも高い角度で打つ「ロフテッド軌道」で発射され、過去最高の4000キロをはるかに超える高度に達した。複数に分離したことから、強い推進力を得られる多段式ミサイルだった可能性がある。

米科学者らで組織する「憂慮する科学者同盟」は、「通常の打ち方なら1万3000キロ以上飛ぶ可能性がある」と分析。「ワシントンまで十分に届く。実際には米国のどの都市にも届く」とした。韓国の聯合ニュースは、韓国合同参謀本部の話として、今回のミサイルは「火星14」とみられると伝えた。北朝鮮は7月28日にも同ミサイルをロフテッド軌道で発射しており、その際の高度は3500キロ超だった。

北朝鮮の弾道ミサイル発射は、北海道上空を通過し、3700キロ飛行して太平洋上に落下した9月15日の中距離弾以来。小野寺五典防衛相は「その間もさまざまな実験をしていたということは予測できている。(今回は)4000キロをかなり超える高さだったことを考えれば、かなりの能力を持ったICBMと考えられる」と述べた。その一方で、ICBMは(大気圏)再突入などの技術があって完成ということになる。私どもはそこは正確に把握していない」と語った。

今回のミサイルが搭載できる弾頭の重量も不明だ。ミサイルの飛距離は弾頭の重さの影響を受ける。自衛隊関係者は「かなりの距離を飛ばせることは分かったが、どれぐらいの重さの弾頭を載せていたのか。分析の焦点の1つだ」としている。

*内容を追加しました

(久保信博、マーク・ホーゼンボール、クリティン・キム、山口貴也、田巻一彦)

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