ニュース速報

ワールド

ブレグジットばねにEU結束を、欧州委員長が呼び掛け

2017年09月14日(木)01時14分

 9月13日、欧州委員会のユンケル委員長(写真)は欧州議会での施政方針演説で、欧州連合(EU)の各国政府は英国のEU離脱(ブレグジット)と景気回復を活かし、世界貿易の中心的存在として結束するよう呼びかけた(2017年 ロイター/Christian Hartmann)

[ストラスブール 13日 ロイター] - 欧州委員会のユンケル委員長は13日、欧州議会での施政方針演説で、欧州連合(EU)の各国政府は英国のEU離脱(ブレグジット)と景気回復を活かし、世界貿易の中心的存在として結束するよう呼び掛けた。

ギリシャの債務問題や難民流入、ユーロ懐疑派の台頭といった一連の危機緩和や経済成長に触れ、「欧州に流れが戻った。絶好の機会が訪れているが、永遠に続くことはない」と指摘した。

「ブレグジットがすべてでなく、欧州の未来でもないのだから、前進し続けよう」と述べ、英国のEU離脱決定をプラスに変える必要性を強調した。

すべての加盟国にユーロ圏や他のEU機関参加を呼び掛けた。「ユーロ圏で大陸内の分離より統合を望むなら、(ユーロは)一部の国で構成するグループ通貨以上の存在であるべきだ。ユーロはEU全体の単一通貨となる運命だ」と述べた。

英国がEUを離脱すれば、ユーロ圏非加盟国は8カ国となり、EUの域内総生産(GDP)に占める割合は15%にとどまるとされる。ユンケル氏は、EUとユーロ圏の政策は一体的に運営するのが自然との認識を示す。

フランスが主導するユーロ圏予算や財務相、議会構想には反対の立場を示した。

演説を受けブレグジット推進派らは、EUが強権化、中央集権化を進めようとしているとして、離脱は正しい判断だったと語った。

ユンケル氏はこのほか、中南米諸国との貿易協定締結に意欲を示すとともに、インフラやハイテク製造業、エネルギー分野における中国勢の欧州企業買収を制限することを提案した。

米国との自由貿易協定(FTA)の交渉加速も呼びかけた。

EUは7月に日本と経済連携協定(EPA)交渉で大枠合意しており、オーストラリア、ニュージーランドとの貿易交渉にも前向き。

メキシコおよび南米4カ国の関税同盟メルコスルとは、年内のFTA締結を目指している。

中国企業による域内企業の買収については、投資審査の枠組み構築を提案。戦略的利益を守る意思を示した。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中独首脳会談、習氏「戦略的観点で関係発展を」 相互

ビジネス

ユーロ圏貿易黒字、2月は前月の2倍に拡大 輸出が回

ビジネス

UBS、主要2部門の四半期純金利収入見通し引き上げ

ビジネス

英賃金上昇率の鈍化続く、12─2月は前年比6.0%
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 3

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 4

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 5

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 6

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 7

    キャサリン妃は最高のお手本...すでに「完璧なカーテ…

  • 8

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 9

    中国の「過剰生産」よりも「貯蓄志向」のほうが問題.…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入、強烈な爆発で「木端微塵」に...ウクライナが映像公開

  • 4

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 5

    ドイツ空軍ユーロファイター、緊迫のバルト海でロシ…

  • 6

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 7

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 8

    金価格、今年2倍超に高騰か──スイスの著名ストラテジ…

  • 9

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 10

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中