ニュース速報

ワールド

「おい臆病者」、ロンドン襲撃で市民も必死の応戦

2017年06月05日(月)16時09分

 6月4日、英ロンドン中心部で歩行者などを襲撃された事件では、ロンドン市民が椅子やテーブルを男らに投げつけるなどして応戦する場面があった。写真は4日、現場のロンドン橋付近を調べる捜査官ら(2017年 ロイター/Neil Hall)

[ロンドン 4日 ロイター] - 英ロンドン中心部のロンドン橋などで3日夜、3人の男がワゴン車を暴走させたうえ刃物で歩行者などを襲撃した事件では、ロンドン市民が椅子やテーブルを男らに投げつけるなどして応戦する場面があった。

犯行グループは、警察官に射殺される前に、少なくとも7人を殺害し、50人近くを負傷させた。彼らはまず、大勢の人々がいたロンドン橋の歩道にスピードを出して突っ込んだ。

「群衆のいる場所を狙った様に見えた」と、コンサルタントのマーク・ロバーツさん(53)はロイターに語った。ワゴン車が蛇行しながら暴走した後に、少なくとも6人が倒れているのを見たという。「とても恐ろしかった」

男たちはその後、ナイフを振り回し、バーやレストランで土曜の夜を楽しむ人たちで混雑する食品市場「バラマーケット」を襲った。目撃者は、地獄の様な光景を見たと話す。

ジェラルド・バウエルさんはスカイTVに対し、数人が刺された現場のサザーク・タバーンというパブの近くの路上にいたところ、「刺された。刺された」と叫ぶ声を聴いたと話した。「冗談かと思った」

次に、男が「これはアラーのためだ」と叫びながら女性と男性を1人ずつ刺すのを目撃した。バウエルさんは、男たちの気をそらせようと声を上げた。

「彼らの去り際、私は『おい、おい。臆病者め」と叫んだんだ」と、バウエルさんは話した。「物を投げつけて注意を引こうとした。ボトルや椅子を投げつければ、奴らは私を追いかけてくるだろうと思った。もし追いかけて表通りに出てくれば、警察が奴らを止めてくれる。警官が銃を撃てると思った」

英国の鉄道警察幹部は、警棒1つで襲撃犯に立ち向かい、負傷した警察官について、「任官から2年もないが、傑出した勇気を示してくれた。非常に誇りに思っている」との声明を出した。

バラマーケットにある寿司店の店長は、フィナンシャル・タイムズ紙に、襲撃犯の1人と対峙した時の様子を語った。

「奴は私の真正面にやってきて、ガラスのドアしか間にはない状況だった。手には刃渡り20センチぐらいの大きなナイフを持っていて、血がついていた。奴は『これはアラーのためだ』と叫んで、ナイフで窓を叩いた」と、アレックス・ナイペルズさん(23)は語った。男はそのまま、近くの別のレストランに入って行ったという。

他の目撃者は、包丁のような大きな刃物を手にした男と、刺されて血を流す被害者たちを見たと語った。現場はパニックになり、大勢が一斉に逃げ出したという。

ベンと名乗る男性は、英国放送協会(BBC)に対し、赤い服を着た男が、刃渡り10インチ(約25センチ)ほどのナイフで男性を刺すのを目撃した。「男性は容赦なく刺され、地面に倒れこんだ」と言う。

襲撃した男がその後、サザーク・タバーンに向かって歩き始めると、店内から椅子が投げつけられた。そのすぐ後に、警察によるものとみられる銃撃が始まったという。

*誤字を修正しました。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ前米大統領、ドル高円安「大惨事だ」 現政権

ビジネス

米ペプシコの第1四半期決算、海外需要堅調で予想上回

ビジネス

仏ケリング、上期利益が急減の見通し グッチが不振

ワールド

トランプ前米大統領、麻生自民副総裁と会談=関係者
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 7

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中