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アングル:日本で核シェルターの需要増、北朝鮮情勢の緊迫化で

2017年04月27日(木)09時48分

 4月24日、北朝鮮が国連制裁に対抗しミサイル実験を強行するなか、日本では核シェルターや放射性物質を排除する空気清浄機の売り上げが急増している。写真は、北朝鮮の平壌で15日行われた軍事パレード(2017年 ロイター/Damir Sagolj)

[東京 24日 ロイター] - 北朝鮮が国連制裁に対抗しミサイル実験を強行するなか、日本では核シェルターや放射性物質を排除する空気清浄機の売り上げが急増している。

核シェルターの設計・施行などを行う織部精機製作所(兵庫県神戸市)は、通常の年間注文数が6件程度であるのに対し、今年は4月だけで8件の注文があったという。核シェルターは通常、地下に建設される。

社員数約20人の同社はまた、放射性物質や有毒ガスを排除するとされるスイス製の空気清浄機50台を完売し、在庫を確保しようとしていると、同社取締役の織部信子氏は話す。

6人用の空気清浄機の価格は62万円で、13人用で通常は家族向けシェルターに取り付けられている大型の空気清浄機は170万円だという。

日本で有毒ガスを使用した攻撃への懸念が高まったのは、安倍晋三首相が今月国会で、北朝鮮が神経ガスのサリンをミサイル弾頭に付けて着弾させる能力を保有している可能性があると語ってからだ。

「シェルターというのは時間とコストがかかるが、今この緊迫した状況の中で、すぐにでもという話ばかりだ」と織部氏は言う。

また株式会社アースシフト(静岡県静岡市)では、同社の地下シェルターに関する問い合わせや見積もりが10倍に増加したと、営業課長の志賀明氏は語る。問い合わせは2月から徐々に増え始め、日本全国から来ているという。

<避難訓練>

北朝鮮のミサイル実験は頻度を増している。先月はミサイル3発が日本の排他的経済水域(EEZ)である秋田県沖300─350キロ付近に落下した。

日本政府は21日、北朝鮮のミサイル攻撃を想定した住民の避難訓練を実施するよう地方自治体に呼びかけ、国民に緊張感が高まった。

織部精機製作所の織部氏によれば、家族のほか、小規模企業の経営者が従業員のために核シェルターを注文しているという。13人まで収容できる核シェルターの価格は約2500万円で、完成には4カ月程度かかる。

同社は、放射性物質はもちろんのこと有毒ガスを排除できる空気清浄機を備え、機密性が高く、強化された地下核シェルターを提供している。たとえ広島に投下された原子力爆弾と同程度の威力を持つ爆弾がわずか660メートル離れた場所で爆発しても、室内は爆風に耐えられるように設計されているという。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は23日、「朝鮮人民軍は米原子力空母を一撃で沈める用意がある」と伝え、地域の緊張は一段と高まっている。

北朝鮮の核・ミサイル開発を巡る懸念の高まりを受け、米国は空母「カール・ビンソン」などの空母打撃群を朝鮮半島近海に移動させている。

日本で1995年に発生した、宗教団体オウム真理教による地下鉄サリン事件では、刑事裁判で認定された死者12人に加え多くの被害者が出た。

(竹中清記者、笠井哲平記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

*写真を更新します。

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