ニュース速報

ワールド

17年度防衛予算、過去最高の5.16兆円を要求

2016年08月31日(水)12時13分

 8月31日、防衛省は、5兆1685億円となる2017年度予算の概算要求を決定した。16年度の当初予算からは2.3%増。写真は稲田朋美防衛相。都内で3日撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 31日 ロイター] - 防衛省は31日、5兆1685億円となる2017年度予算の概算要求を決定した。16年度の当初予算からは2.3%増。弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮、東シナ海で動きを活発化させる中国をにらみ、5年連続の増額、3年連続の最高額更新を視野に入れる。

<東京五輪までには一部しか整わず>

最も費用がかさむ項目は、弾道ミサイルを迎撃する地上配備型ミサイルPAC3の改修費987億円。飛距離を2倍の約30キロに伸ばした新型ミサイルを撃てるよう、全国に配備する28の発射システム全てを22年度までに更新する。

防衛省はもともと5年間の中期防衛力整備計画でPAC3の改修を決めていたが、今年に入り北朝鮮が弾道ミサイルを次々と発射。精度の向上が見られることから、計画4年目に当たる17年度に予算を計上して迎撃態勢の強化を急ぐことにした。

ただ、システムを構成する装置のうち、発射機は12機分の改修費用しか要求しない。実際に新型ミサイルを撃てるのはこの12機に限られる。20年夏の東京五輪までには4機の発射機しか改修を終えることができない見通しで、防衛省は首都圏の迎撃強化を優先していく。

イージス艦から発射する海上配備型の迎撃ミサイルSM3も、米国と共同開発中の改良型を導入する。17年度は量産費として147億円を要求する。

<水陸機動団を正式に編成>

東シナ海で動きを活発化させる中国を念頭に、南西諸島の防衛力強化も継続する。鹿児島県の奄美大島と沖縄県の宮古島に警備部隊を配備する費用746億円を計上するほか、中距離の地対空ミサイルを調達する。

さらに創設準備を進めてきた水陸機動団を正式に編成、中国機への緊急発進が高止まりしている沖縄県那覇基地の航空部隊を強化する。

このほか、そうりゅう型潜水艦の後継艦を建造する費用760億円を要求。電磁で弾丸を高速化するレールガン、水陸両用車、無人航空機など将来的な武器の研究事業費、陸上自衛隊に情報収集・分析力向上のための学校を新設する費用も計上する。

(久保信博 編集:田巻一彦)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 2

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子供を「蹴った」年配女性の動画が大炎上 「信じ難いほど傲慢」

  • 3

    あまりの激しさで上半身があらわになる女性も...スーパーで買い物客7人が「大乱闘」を繰り広げる動画が話題に

  • 4

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 5

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 5

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 9

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中