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中国が外交勝利、ASEAN声明は南シナ海裁定に言及せず
7月25日、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が発表した共同声明では、米国が要求していた南シナ海の領有権問題における仲裁裁判所の裁定について言及せず、中国が外交上の勝利を収めた。写真は記者会見する中国の王毅外相。ラオスの首都ビエンチャンで26日撮影(2016年 ロイター/Jorge Silva)
[ビエンチャン 25日 ロイター] - 東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が25日発表した共同声明では、米国が要求していた南シナ海の領有権問題における仲裁裁判所の裁定について言及せず、中国が外交上の勝利を収めた。
南シナ海での中国の主張を否定した仲裁裁判所の判断について共同声明で言及するよう求めていたフィリピンが、中国の盟友カンボジアからの反対を受けて、自らの要求を取り下げた。
共同声明では、中国の主張を否定する判決に言及しない代わりに、南シナ海での争いについて、国際法に基づいた平和的解決を図る必要性を訴えた。ASEANに加盟する10カ国のうち、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイは中国と南シナ海で領有権を争っている。
中国政府はこれを受け、南シナ海における同国の主張を支持したカンボジアに対し公に謝意を表明。中国外務省のウェブサイトによると、王毅外相はカンボジアのプラク・ソコン外相に対し、中国を支持したカンボジアの立場は正しく、ASEANの結束と中国との協力関係を守るものだとの考えを伝えた。
米国は、国連の支援を受けた仲裁裁判所の裁定について共同声明に盛り込むよう促していた。裁定は、南シナ海での領有権をめぐって米国の同盟国フィリピンに明確な法的勝利を与えるものだった。
米国務省の報道官によると、ケリー米国務長官は、ラオスのコンマシット外相との会談で、共同声明で仲裁裁定に言及するよう促していた。ケリー長官は他の外相との会談でも強く要求していたという。
南シナ海という重要な商業航路における中国との領有権争いは、自らの領有権を主張したいと切望する一方で、急速に独断的となっている中国との関係も構築したいASEAN加盟10カ国にとって、最も論議を呼ぶ話題となっている。
フィリピンとベトナムは、今回の共同声明において、年間5兆ドル(約520兆円)を超える国際貿易を支える戦略的な海路である南シナ海での、中国の大胆な領有権を否定した仲裁裁定の言及と、国際海洋法を尊重するよう呼びかけることを求めていた。
しかし、ASEAN諸国は、あくまで総意によって厳密に動いており、カンボジアが裁定への言及を拒否する一方、中国の求める二国間協議を支持。フィリピンは、49年に及ぶASEANの歴史上2度目となる共同声明の不採択を避けるために、要求を取り下げたという。
*25日に配信した記事に情報を追加して再送します。