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アングル:カーニバルや五輪控えたリオ、ジカ熱制圧に苦戦

2016年01月28日(木)20時12分

 1月26日、ブラジルのリオデジャネイロは、来月開幕するカーニバルや8月の五輪を控え、同国で猛威を振るう感染症「ジカ熱」の流行を終息させようと対策を急いでいる。だが、それは困難な闘いとなるだろう。写真はカーニバルの看板の隣で、殺虫剤を手に防護服を身に着けた職員。リオで撮影(2016年 ロイター/Pilar Olivares)

[リオデジャネイロ 26日 ロイター] - ブラジルのリオデジャネイロは、来月開幕するカーニバルや8月の五輪を控え、同国で猛威を振るう感染症「ジカ熱」の流行を終息させようと対策を急いでいる。だが、それは困難な闘いとなるだろう。

ジカ熱感染はアメリカ大陸で20カ国以上に拡大し、熱帯・亜熱帯地方に健康上の不安が広がっている。

ジカウイルスは、ネッタイシマカの媒介による感染が拡大する以前から南半球に存在していたと考えられている。同ウイルスは先天的に頭部が小さい「小頭症」との関連性が指摘されており、ブラジルでは小頭症の赤ちゃんが約4000人誕生している。

国民にジカウイルスについて注意を促し、観光地や蚊の温床となる場所に殺虫剤をまいたりしているものの、大量の蚊がはびこり、ワクチンもないため、保健当局は解決策を見いだすのに苦労している。

ブラジルのカストロ保健相は25日、ルセフ大統領と会談後、記者団に対し「われわれは大敗を喫しようとしている」と語った。

同保健相は、ジカ熱に関する冊子の配布や、蚊の繁殖地の駆除のために兵士22万人を2月に配置する計画だと明らかにした。

ジカ熱の症状は、妊婦やすでに何らかの疾患を持っていて合併症を引き起こす人以外はたいてい軽くて済むが、その原因はまだ解明されていない。感染者の血を吸ったネッタイシマカが世界各地に拡散するにつれ、感染も拡大している。

毎年恒例のリオのカーニバルが始まるまであと1週間あまりとなった26日、市の保健当局はパレードが行われる場所などに殺虫剤を散布した。職員3000人以上が蚊の温床となっている場所に配置され、駆除を行っている。カーニバルと五輪開催中は、会場を毎日検査することにもなっている。

各国政府や、世界保健機関(WHO)、米疾病対策センター(CDC)などの保健機関は、妊婦に対し、感染が確認されている国へ渡航する際は医師に相談するよう注意を促している。

暖かくなる時期に米国でも流行するのではないかと予想されるなか、同国の保健当局はジカ熱感染と小頭症の関連性についての研究を一段と強化している。

一方、ブラジルの旅行代理店やホテルの経営者は、政府の注意事項に関する問い合わせは多いが、今のところまだキャンセルはそれほど多くはないと語る。

政府筋がロイターに語ったところによると、ブラジル政府はソーシャルメディアや旅行代理店を通じて、ジカ熱や政府の対策を知らせる国際的なキャンペーンを行い、五輪へのいかなる影響をも避けるべく準備しているという。

この数日に行われていたカーニバルに向けた事前イベントは多くの人を魅了し、防虫剤と共にビールや汗などの匂いが立ち込めた。

ジカウイルスを媒介するネッタイシマカは順応性があるため、同ウイルスは今後も急速に拡散されるとみられる。

ネッタイシマカはリオ市内や他の熱帯地方の都市によくある水たまりなどで発生、成長する。無秩序で計画性のない地区では、雨水や下水溝、ごみなどが格好の生息場所となっている。

「増殖するには完璧な環境だ」と、ジカ熱感染の急速な拡大を予想した論文を発表していた加トロント総合病院の熱帯感染症専門家、アイザック・ボゴフ氏は語る。

<住民の協力>

ジカウイルスは、ウガンダで1947年に初めて確認された。それ以来、流行は限定的で、過去10年で最新の流行は太平洋諸島においてだった。ブラジルへは、同国が2014年にサッカーのワールドカップ(W杯)を開催した際に旅行者によって持ち込まれたものと考えられている。

したがって、ジカ熱についてはほとんど知られておらず、小頭症との関連も太平洋諸島での流行まで仮説は立てられていなかった。

関連性をめぐる検証はようやく昨年になって開始され、ブラジル北東部で小頭症の子供の母親から羊膜のサンプルが採取された。

現在、ジカ熱感染の疑いのある患者から直ちにウイルスを検知できる検査や、さらに重要であるワクチンを開発すべく、急ぎ研究が進められている。ただし、ワクチン開発には何年もかかるとみられている。

一方、医師や保健当局者らは、防蚊対策に市民を関わらせることが課題だと話す。

中南米全体に見られる不十分な開発と大きな格差が都市部での流行に大きく寄与したことは間違いないが、一部の住民は基本的な保健や教育など公的サービスをしばしば提供できない行政に対し否定的であったり、反感を抱いたりしている。

リオでは、保健当局者は犯罪や安全上のリスクから、居住区に入れないことすらある。

「市や国が言わねばならないことに、多くの人は聞く耳を持たない。保健従事者が部外者とみなされた場合、人々に協力させるのは難しい」と、政府系機関であるオズワルド・クルーズ財団のエルマノ・カストロ氏は語る。

過去に行われたネッタイシマカ駆除対策は失敗に終わった。この蚊は黄熱病やデング熱、チクングンヤ熱など他の熱帯病も媒介することで知られている。

当局は停滞水の危険性について住民に知ってもらおうと努力しているものの、デング熱感染は過去数年で悪化している。リオでは昨年、感染例は前年比10倍増となり、少なくとも22人の死亡が確認されている。

ジカ熱流行は、オフショア油田からのロイヤルティが急減し、困窮するリオデジャネイロ州政府が病院や研究施設の閉鎖を余儀なくされていた時期と重なった。

「デング熱も制御できていないのに、今度はジカ熱とも闘わねばならない」と語るのは、リオで有名な小児科医ダニエル・ベッカー氏。他の多くの医師同様に同氏も、小頭症への不安が、ブラジルでは違法である中絶の急増につながることを危惧している。

(Paulo Prada記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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