ニュース速報
ワールド
焦点:トルコ、再び総選挙の可能性高まる 空爆で連立協議混迷
7月31日、トルコで与党の連立協議が一段と混とんとしており、近く総選挙が行われる可能性が高まってきた。写真はエルドアン大統領、アンカラで6月撮影(2015年 ロイター/Umit Bektas)
[アンカラ 31日 ロイター] - トルコ軍が同国の非合法武装組織クルド労働者党(PKK)と過激派組織「イスラム」国の拠点を空爆し、愛国主義的ムードが広がったことで、与党の連立協議が一段と混とんとしており、近く総選挙が行われる可能性が高まってきた。
エルドアン大統領率いる与党の公正発展党(AKP)は6月の総選挙で過半数議席を失い、連立相手を探している。各党は23日までに実務内閣の設立に合意するよう求められており、合意に至らなければ大統領は再び総選挙を行う可能性がある。
そうした中でトルコ軍は1週間前、シリアとイラクにあるPKKとイスラム国の拠点に対する二正面作戦を開始。トルコ政府とPKKの和平交渉に長く反対してきた愛国主義の野党、民族主義者行動党(MHP)はこれを歓迎し、AKPとの連立を支える可能性を示し始めた。
しかしエルドアン大統領はアジア訪問に際して同行記者団に対し、もろい連立政権は危険だと訴え、単独過半数政権の利点を強調した。
日刊紙ヒュリエトによると、大統領は「連立協議で前向きな結果が得られるならそれで良い。しかしそうでないなら、われわれは直ちに国民の意思を問うて決断を委ね、現在の状況から抜け出せるようにすべきだ」と述べた。
大統領にとっては、単独過半数を確保するために再び総選挙に踏み切る方が連立よりも好ましい選択肢だ、との見方もある。仮にAKPが議席の3分の2を制することができれば、大統領は憲法を改正し自らの権限を強化することも可能になる。
AKPは第2党の共和人民党(CHP)と連立を協議してきたが、進展の兆しは見られず、3日に協議が打ち切られることになっている。
<世論調査>
AKP高官らによると、同党は1日から10日にかけての世論調査結果に基づき、連立協議を続けるか早期総選挙に踏み切るかを選択する見通しだ。
ある高官はロイターに対し「世論調査が単独政権樹立の可能性を示す内容なら、連立協議を終わらせ、早期総選挙を実施する可能性がある。しかし異なる結果が出れば、CHPかMHPのいずれかと連立を組む可能性がある。MHPと連立する可能性を看過すべきではない」と語った。
MHPは以前、AKPと組む気はないと表明していたが、PKKとの和平交渉の崩壊が視野に入ってきたため、次の総選挙まで一時的に連立を組む可能性がある。
AKP高官らは、来週MHP高官らと会談する可能性があると話している。
(Orhan Coskun and Ercan Gurses記者)