ニュース速報

ワールド

日米防衛相、ガイドライン改定へ協議加速 自衛隊・米軍の協力拡大

2015年04月08日(水)13時57分

 4月8日、カーター米国防長官(右)は、中谷元防衛相(左)と都内で共同会見し、改定作業が大詰めを迎えた「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」について、自衛隊と米軍の協力が世界規模で拡大することに期待を示した(2015年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 8日 ロイター] - カーター米国防長官は8日、中谷元防衛相と都内で共同会見し、改定作業が大詰めを迎えた「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」について、自衛隊と米軍の協力が世界規模で拡大することに期待を示した。また、南シナ海で中国が岩礁を埋め立てていることなどを念頭に、領土問題を「軍事化することに断固反対する」と語った。

今年2月に就任したカーター長官が来日したのは初めて。8日午前に中谷防衛相と会談し、ガイドライン改定に向けた日米間の協議を加速することや、沖縄県の米普天間基地の移設を進めることなどを確認した。

カーター長官は会談後の共同会見で、「新しいガイドラインで日米関係、同盟関係はさらに変わることになる。米軍と自衛隊が切れ目なく協力する機会が増える」と発言。その上で「直面する幅広いチャレンジに、アジア太平洋、世界中で対応していくことが可能になる」と語った。

ガイドラインの改定は18年ぶり。4月下旬にワシントンで予定される安倍晋三首相とオバマ米大統領の首脳会談前に外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)を開き、作業を完了する方向で調整している。

<サイバー、宇宙でも協力>

これまでのガイドラインは、日本が武力攻撃を受けた場合と、朝鮮半島で有事が起きた場合を念頭に、自衛隊と米軍の役割分担を定めていたが、改定後は地理的制約をなくすとともに、平時から有事まで切れ目なく協力できる体制を整える。

サイバーや宇宙空間など、18年前には想定されなかった領域の安全保障でも協力できるようにする。会見の中で中谷防衛相は、宇宙空間に関する新たな作業部会を設置するよう事務方に指示したことを明らかにした。

このほかカーター長官は、中国と東南アジア諸国が領有権をめぐって争う南シナ海の情勢にも言及。具体的な国名は挙げなかったものの、「威嚇的な行動をもって現状変更されてはならない」とした上で、領土紛争を「軍事化することについては断固反対している」と語った。

カーター長官は日米防衛相会談後、安倍首相と菅義偉官房長官、岸田文雄外相とも面会。9日からは韓国を訪問する。今回の東アジア訪問で、アジアに軍事力を傾斜配分するオバマ政権のリバランス(再均衡)政策を改めて強調したい考え。

*内容を追加します。

(久保信博 編集:田巻一彦、野村宏之)

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中