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アングル:中欧3カ国の製造業が好調、ユーロ圏の回復追い風
4月1日、チェコ、ハンガリー、ポーランドの中欧主要3カ国の製造業が好調。3月の業況指標は軒並み力強い拡大を示した。ハンガリー・ジェールの自動車工場で2013年6月撮影(2015年 ロイター/Laszlo Balogh)
[ワルシャワ 1日 ロイター] - チェコ、ハンガリー、ポーランドの中欧主要3カ国の製造業が好調だ。3月の業況指標は軒並み力強い拡大を示した。景気回復が進むユーロ圏との密接な結びつきや、緩和的な金融政策が行き過ぎた通貨高を抑えていることが支援している。
輸出依存型経済のチェコは、マークイット・エコノミクスが1日公表した3月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が56.1となり、前月の55.6から改善した。新規受注や雇用に関する指数が上昇した。チェコの製造業PMIは2013年5月以来ずっと、業況改善と悪化の分かれ目となる50を上回っている。
チェコの輸出は、約62%がユーロ圏向け。そのユーロ圏経済は通貨ユーロの下落や欧州中央銀行(ECB)による大規模な金融緩和で回復の兆しが出ている。
チェコ中銀は13年にコルナ相場を1ユーロ=27コルナ以下に抑える政策を導入。通貨コルナの対ユーロでの上昇を抑え込んだことが輸出を後押しした。
ハンガリーの3月の製造業PMIは55.6。新規受注指数の改善や生産増を背景に前月の55.0から上昇した。
スズキ<7269.T>が3月からハンガリー工場で「ビターラ」の生産を開始したこともPMIの改善を支えた。スズキはハンガリーで製造したビターラを70カ国に出荷する計画で、ハンガリー工場拡張への投資は1億5000万─1億6000万ユーロに達したとしている。ハンガリーの輸出も約57%がユーロ圏向けだ。
タカレクバンクのアナリスト、ゲルグリー・サッパン氏は「PMIの上昇はドイツ経済の改善で中東欧が上向いていることを示している」と指摘。同地域の今年の成長率を3.2%と予想したうえで、上振れる可能性があるとしている。
ポーランドの3月の製造業PMIが54.1。2月からはやや下がったものの雇用は1998年以来で最大級の伸びを示した。
ポーランドも輸出の54%がユーロ圏。PMIを算出したマークイットは、新規輸出受注指数は需要の加速を示し、通貨ズロチの対ドルでの下落が輸出を支援したと指摘した。
ズロチは対ユーロでは2年ぶり高値だが、対ドルでは昨年7月以降で20%下げている。
中欧諸国は、2010年のユーロ圏債務危機ピーク時には貿易や銀行制度を通じたユーロ圏との強い結びつきのために投資家から嫌われた。それが今、ユーロ圏とのつながりが恩恵をもたらしている。
BNPパリバの中欧エコノミスト、ミハル・ディブラ氏は「ポーランド、チェコ、ハンガリーは製造業PMIが55近辺を維持しており、3カ国の製造業は向こう数カ月極めて堅調な成長が見込まれる」とみている。
(Marcin Goettig記者)