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ネトフリのワーナー買収、米与野党議員から独禁法違反指摘する声

2025年12月08日(月)07時36分

写真はネットフリックスとワーナー・ブラザースのロゴ。12月5日撮影。REUTERS/Dado Ruvic

Jody Godoy

[5日 ロイター] - 米動画配信大手ネットフリックスがメディア大手ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)を720億ドルで買収する計画を巡り、与野党議員から反トラスト法(独占禁止法)違反に該当するのではないかと指摘する声が出ている。

ネットフリックスは、この取引を通じて雇用が創出され、コンテンツの追加によって3億人の加入者により大きな価値を提供できると強調した。

しかし与党共和党の複数議員は、ネットフリックスがWBDの動画配信サービス「HBOマックス」とコンテンツ権を吸収することで反トラスト法上の問題が生じると警告している。

上院で反トラスト法小委員会委員長を務めるマイク・リー議員(共和党)は3日、ネットフリックスがWBDの動画配信サービス資産を取得した場合、世界中の独占禁止法運用当局に警戒信号を送るはずだと発言した。

リー氏はX(旧ツイッター)への投稿で「ネットフリックスは素晴らしいサービスを構築した。だがネットフリックスによるこのような支配は、コンテンツクリエーターと消費者にとって動画配信の黄金時代の終わりを意味する」と述べた。

先月には共和党のロジャー・マーシャル上院議員とダレル・イッサ下院議員も、ネットフリックスとWBDの統合計画は映画上映本数の減少につながる恐れがあり、反トラスト法運用当局が目を光らせる必要があると訴えた。

野党民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は、両社の統合で「動画配信サービス市場のほぼ半分を支配する巨大なメディア企業が誕生し、国民により高い視聴料金を強いるだけでなく、視聴の内容や方法に関する選択肢を減らし、労働者を危険にさらす恐れもある」と批判した。

またウォーレン氏と、同じ民主党のプラミラ・ジャヤパル下院議員は、ネットフリックスによるWBD買収を「悪夢」と表現した。

民主党のエイミー・クロブシャー上院議員はこの計画について、精査が必要になるとの見方を示した。

コーネル大学のジョージ・ヘイ教授は、当局による審査の焦点は取引後にネットフリックスがコンテンツ市場をどれほどの規模で支配するか、また資産の一部売却でその問題が解決できるかどうかになる公算が大きいと予想する。

ヘイ氏は「WBDは既に多くのコンテンツを保有しており、その一部をパラマウントなど別の事業者に切り離して譲ることで市場シェアを縮小するというやり方が想像できる」と述べた。

ネットフリックスとWBDの統合は、欧州連合(EU)の厳しい審査につながる可能性もある。欧州の業界団体はEU当局に対して懸念と反対意見を申し立てるとしている。

ロイター
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