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インタビュー:ラーメンで海外戦略加速、牛丼依存を分散へ=吉野家HD社長

2025年11月13日(木)07時17分

写真は吉野家ホールディングスの成瀬哲也社長。都内で5月撮影。 REUTERS/Issei Kato

Kentaro Okasaka

[東京 13日 ロイター] - 吉野家ホールディングスが13日、ラーメン店を中国に出店する。一度撤退してから約1年半後の再挑戦で、国内の価格競争に巻き込まれがちな牛丼からの多角化を進める中で海外戦略を加速させる。5月に就任した成瀬哲也社長はロイターとのインタビューで「国内だけでは当然、限界がある。最初からエリアを限定せず、グループシナジーを発揮できるところがあれば出店し、世界一を狙っていく」と語った。

出店するのは、今年初めに買収したキラメキノ未来(京都市)が手がけるラーメン店。日本と同じ「鶏白湯らーめん」や「台湾まぜそば」などが看板商品で、1号店をオープンする。

看板商品の価格は日本円で800円台に設定した。中国現地法人で社長に当たる董事長を2021年から務め、現在も兼務する成瀬氏は「全体的な中国の(市場の)ボリュームと、上海の所得水準の高さや人口から、800円前後のラーメンの需要はある」と判断したと説明する。

<日本語堪能な中国の人材がけん引>

吉野家が中国でラーメン事業を運営するのは初めてではない。19年に完全子会社化したウィズリンク(広島市)が展開する「ばり馬」が15年から出店していたが、収益面で課題があり、24年6月に最後の店舗を閉めた。

再挑戦となる今回は、「吉牛」を世界に広めた経験を活かす。上海には2000年代初めから牛丼店を展開しており、店舗数が30近くまで増えてきたため、野菜加工や肉のスライスを担う自社のセントラルキッチン開設を進めていた。24年に買収した麺やスープの製造を手がける宝産業のノウハウを採り入れ、ラーメンの設備も併設することにした。外注するより粗利率が高いという。

「店舗物件や契約書の作り方、人材の手当て、購買、製造、物流などのロジといった海外展開の知見・ノウハウはわれわれが持っている」と成瀬氏は話す。

吉野家の海外展開の起源は1970年代にさかのぼり、現在では世界に1000店舗以上、中国本土と香港だけで640店舗以上を構える。しかし、ラーメン事業については知名度はない。傘下のラーメン店の海外展開もまだ韓国と英国に限られる。また、牛丼と比べ、麺の湯切りなどが味を左右するため技量も問われる。

成瀬氏は、上海の従業員らに「牛丼と違って難易度の高いビジネスをやる。全中国で500店舗になるか1店舗で終わってしまうか(の勝負を)今やっている。クオリティーを裏切った瞬間に1店舗で終わってしまう」とハッパをかける。現地法人は大学生の就職難を背景に日本語が堪能な良い人材に恵まれ、ラーメン事業は早稲田大で経営学修士(MBA)を取得した社員が率いているという。

<値下げ追随せず、「牛丼戦争の時代ではない」>

成瀬氏はラーメン事業に力を入れる理由を「薄利多売ではないから」と説明する。25年に向けた長期経営計画を検討していた10年代前半に、河村泰貴前社長(現会長)と「欧州では2000円くらいでも行列ができている。ラーメンがうらやましい」といった話をしていたという。低価格だった牛丼とは違うビジネスで「この先いけるんじゃないか」「原価もそれほど変わらないのでは」と判断。16年にラーメン事業者のせたが屋(世田谷区)を買収し、本格参入した。

さらに昨年から今年にかけては宝産業やキラメキノ未来を買収。ラーメン事業を牛丼、うどんに続く第3の柱と位置付け、国内外でM&A(企業の買収・合併)も進め、34年度にラーメン提供食数で世界一を目指す。売上高に占めるラーメン事業の比率を24年度の4%から29年度に13%まで引き上げ、主力の牛丼事業への依存度を徐々に分散する狙いだ。

成瀬氏は国内市場で値下げ合戦を繰り広げた牛丼事業を振り返り、「戦う相手はいっぱいいる。牛丼セクターだけで外食を語ってはいけない」と話す。物価が上昇する中でゼンショーホールディングスが8月、「すき家」の牛丼並盛を税込み480円から450円に引き下げると発表したが、吉野家は追随しなかった。「もう牛丼戦争の時代ではない」と成瀬氏は語った。

*11日にインタビューしました。

(岡坂健太郎 編集:久保信博)

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