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賃上げ3%、春闘経営側指針に明記=経団連
1月16日、日本経団連(榊原定征会長)は、春季労使交渉における経営側の指針を公表し、安倍晋三政権が求める3%の賃上げ実現に向けた呼び掛けを盛り込んだ。写真は2016年9月に東京で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 16日 ロイター] - 日本経団連(榊原定征会長)は16日、春季労使交渉における経営側の指針を公表し、安倍晋三政権が求める3%の賃上げ実現に向けた呼び掛けを盛り込んだ。具体的な賃上げ率を明記するのは異例のことだ。安倍首相の強い要請や「社会的期待」を念頭に、指針で具体的な賃金引き上げ率に言及、高収益企業への月例賃金改善への要請も示した形だ。
経団連は18年版の「経営労働政策特別委員会(経労委)特別報告書」を公表。 その中で「3%の賃金引き上げ」との安倍首相の発言を引用し、「社会的期待を意識しながら、自社の収益に見合った前向きな検討が望まれる」とした。その手法としては例年通り多様な選択肢を並べ、基本給引き上げのほか、特定層への重点配分、賞与、一時金増額、諸手当の改訂・見直しなどを挙げている。
中でも「収益が拡大あるいは高水準で推移している企業や、中期的に収益体質が改善した企業においては、(中略)月例賃金や総合的な処遇改善への積極的な対応を求める」として、収益還元を求めた。
政府内には、内部留保が高水準に達している割に企業の賃上げの動きが鈍いとの批判もあるため、今回の報告では「自社の労働分配率や現金・預金の動向など、適切な指標について検討」とした。
また年末には、政府による政策パッケージに、賃上げ企業への法人減税の措置が盛り込まれたことも踏まえて「処遇改善にあたっては、所得拡大促進税制の積極的な活用の検討も重要」だと盛り込んだ。
経営労働政策特別委員会の委員長を務める工藤泰三副会長(日本郵船会長)は、「賃金面だけではない処遇改善がより重要になる。ただ昨年度よりは企業業績もいいことに加え、社会的要請もあり、(3%の賃金引き上げは)積極的に考えて欲しいとの意味合いだ」と説明。実際の賃上げ率については労使交渉に委ねられているとした。
昨年の報告では、賃上げ方針について「収益が拡大した企業や、中期的なトレンドとして収益体質が改善している企業について、16年に引き続き『年収ベースの賃金引き上げ』の前向きな検討」を求めるにとどまっていた。
*内容を追加しました。
(中川泉 編集:内田慎一)