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欧州市場サマリー(29日)

2017年11月30日(木)05時23分

[29日 ロイター] - <為替> 第3・四半期の米国内総生産(GDP)改定値が堅調だったことを受けドルが上昇した。米議会で税制改革法案が成立に向け進展を見せていることもドルの支援要因となっている。

外為市場:[USD/J]

<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。英国の欧州連合(EU)離脱交渉で、英国がEUに払う「手切れ金」について、双方が基本合意したとの報道を受けポンドが約2カ月ぶりの高値をつけた。国際的に事業を展開しドルで収益を上げる銘柄が多いFT100種の重しとなった。

消費関連の国際的な企業の値下がりが目立った。ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)は3.4%、たばこ大手のインペリアル・ブランズは2.9%それぞれ下落した。英蘭系日用品大手ユニリーバと酒造大手ディアジオも2.6%と2.1%値を下げた。

映画館運営のシネワールド・グループは19.8%急落。米同業のリーガル・エンターテインメント・グループを36億ドルで買収する協議を進めているとの発表が嫌気された。証券会社スタイフェル・ファイナンシャルのアナリスト、ジェフリー・ハーウッド氏は、買収規模と、株主割当増資(ライツイシュー)が必要となる可能性が高いことを踏まえると株安は無理もないと指摘した。

原油の値下がりに伴い石油株は大方、マイナス圏で取引された。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアが2018年末まで減産を続けることで合意できるかについて懐疑的な見方が出た。米原油在庫が予想外に増えたことも原油価格を押し下げた。石油大手のロイヤル・ダッチ・シェルは1.7%、BPは1.4%下落した。

ロンドン株式市場:[.LJP]

<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。金融と小売り銘柄が買われ全体水準を押し上げた。

金融株が最大の押し上げ要因だった。スペインの銀行サンタンデールと英金融大手ロイズ・バンキング・グループ、英銀行大手バークレイズは1.8%から3.7%上昇した。

オンラインスーパー大手、オカドは16.2%上昇。ここ2営業日で約40%高となっている。フランスの小売り大手カジノが28日にオカドの電子商取引技術をフランスで使用することで合意した。カジノは29日、3.7%高だった。

一方、テクノロジー銘柄は値を下げた。半導体メーカーでドイツのダイアログ・セミコンダクターと同インフィニオン、オーストリアマイクロシステムズ(AMS)、イタリアのSTマイクロは3.6%から6.8%下落した。

STOXX欧州600種テクノロジー株指数<.SX8P>は2.72%低下。終盤にかけて売りが加速した。米国株式市場で大手テクノロジー銘柄よりも金融株が買われた動きに連動した。週初めにモルガン・スタンレーがメモリーチップの需要拡大は近くピークを迎えるとの見通しを示し韓国のサムスン電子<005930.KS>の投資判断を引き下げたことをきっかけに落ち込んだ。

欧州株式市場:[.FJ]

<ユーロ圏債券> ドイツの消費者物価指数が堅調だったことなどで債券に売りが出て、国債利回りが全般的に上昇した。

ユーロ圏国債利回りは2─5ベーシスポイント(bp)上昇。独10年債利回りは0.40%近辺と5bp上昇し、約2週間ぶりの高水準を付けた。1日の上昇としては今月9日以来の大きさとなる見通しとなっている。

ドイツ連邦統計庁が発表した11月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比1.8%上昇。上昇率は10月の1.5%から加速し、市場予想の1.7%を上回った。

このほか、米国の第3・四半期の国内総生産(GDP)改定値は年率換算で前期比3.3%増と速報値の3.0%増から上方改定され、2014年第3・四半期以来の大幅な伸びとなったことで、米国債利回りも上昇。米10年債利回りは2.40%近辺と、2週間ぶりの高水準となっている。

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長はこの日に行った議会証言で、米経済は力強さを増しており、利上げ継続はなお正当化されるとの考えを表明。ダイワ・キャピタル・マーケッツの経済調査部門責任者、クリス・シクルナ氏は「国債利回りの上昇を正当化する数多くの理由がある」としている。

こうしたなか、ユーロ圏の長期インフレ期待の指標は1.7030%と約8カ月ぶりの水準に上昇。欧州中央銀行(ECB)が超緩和的な金融政策スタンスを今後どの程度の期間にわたり維持するのか、市場で疑問が出始めていることが示唆されている。

ユーロ圏金融・債券市場:[DE/BJ]

ロイター
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