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アングル:米企業収益を圧迫するハリケーンの影響
10月20日、8月から9月にかけて米南部やプエルトリコに相次いで襲来したハリケーン「ハービー」、「イルマ」、「マリア」による被害の影響が足元で米企業の収益を圧迫している。写真はニューヨーク証券取引所で撮影(2017年 ロイター/Brendan McDermid)
[サンフランシスコ 20日 ロイター] - 8月から9月にかけて米南部やプエルトリコに相次いで襲来したハリケーン「ハービー」、「イルマ」、「マリア」による被害の影響が足元で米企業の収益を圧迫している。
ハリケーンの被害で損害保険会社に多額の支払いが発生するほか、多数の小売業者、製造業者、銀行も打撃を受けている。
トムソン・ロイターの分析によると、ここ数週間で第3・四半期決算を発表したS&P総合500種企業のうち、オートバイメーカーのハーレーダビッドソン
ハーレーダビッドソンのジョン・オリン最高財務責任者(CFO)は17日の決算発表後、「ハリケーンの影響が四半期小売販売を1.5─2%程度押し下げたと推計している」と述べた。
S&P総合500種企業の少なくとも48社の上級幹部は、電話会見でハリケーンが自社の事業に及ぼしたマイナスの影響に言及している。
銀行大手USバンコープ
保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
また損害保険大手トラベラーズ
トムソン・ロイター・エスティメーツによると、S&P500種企業の特殊要因を除いた1株当たりの利益は第3・四半期に4.2%増加する見通し。これは過去1年間で最も低い伸びとなる。
保険会社を除くS&P500種企業は6.9%の増益が見込まれる一方、保険会社は63.3%の減益となる見通しだ。
米連邦準備理事会(FRB)が17日発表した9月の鉱工業生産では、ハリケーンの影響により生産が妨げられ、持ち直しの動きが鈍った状況が示された。
それでも、ハリケーンの影響で株価上昇の流れが止まったわけではない。S&P総合500種指数は年初来で15%上昇。トムソン・ロイター・データストリームによると、S&P総合500種の業績見通しに基づく株価収益率(PER)は2002年以降で最も高い18倍で推移している。
S&P総合500種損害保険株指数は20日、ハリケーン襲来時の急落から持ち直して過去最高を更新した。多数の投資家は、保険各社は損失を埋め合わせるため保険料を引き上げると考えている。
一方、複合企業ドーバー
また大手工具メーカーのスナップオン
オンライン決済サービスのペイパル・ホールディングス
さらに日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
こうした中、テキサス州とフロリダ州では約60万戸の住宅で屋根を修復しなければならず、USGコープ
被害を受けた住宅の所有者が修復の支出を増やすとの見方から、ホームセンター最大手であるホームデポ
ラーデンバーグ・サルマン・アセット・マネジメントのフィル・ブランカト氏は一連のハリケーンについて「労働力と支出に甚大な影響をもたらすほど大規模だった」と指摘。「だが振り子と同じで、当初は悪影響をもたらすが、復旧が進んで在庫が積み上げられるのに伴い、逆方向に揺り戻されると思う」と語った。
(Noel Randewich記者)