ニュース速報

ビジネス

首相「国難突破」へ解散表明、与党過半割れなら辞任も

2017年09月25日(月)22時19分

 9月25日、安倍晋三首相(写真)は28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散すると正式表明した。社会保障制度を「全世代型」に転換させ、新たに2兆円規模の政策を取りまとめると訴えた(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 25日 ロイター] - 安倍晋三首相は28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散すると正式に表明した。

社会保障制度を「全世代型」に拡充し、新たに2兆円規模の対策を取りまとめるのと引き換えに、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化は不可能との認識も示し、事実上、財政健全化目標を先送りした。首相は、少子高齢化や挑発行動を続ける北朝鮮情勢が「国難」とする認識も示し、今回の衆院解散を「国難突破解散」と命名した。

安倍首相が新たに2兆円規模の対策策定を表明したのは、2019年10月の消費増税に併せ、5兆円超に上る増税分の使途を、子育て支援などに充てる必要があるとの判断からだ。

安倍首相は会見の中で「所得の低い世帯の高等教育無償化は、必ず実現する。リカレント教育を抜本的に拡充し、幼児教育の無償化も一気に進める」と明言。20年度までの3年間を「生産性革命」の集中投資期間と位置付け、賃上げの流れを加速させる減税措置の導入も視野に「税制や予算など、あらゆる施策を総動員する」と強調した。

消費増税分の使途変更に伴い、20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化目標は先送りする。

首相は同日夜、NHK番組に出演し、PB目標について「20年度の達成は不可能になった」と言及。「(黒字化の)達成時期がいつになるかは、しっかり精査しながら判断したい」と語った。これに先立つ記者会見では「財政再建の旗は降ろさない」と述べ、債務残高対GDP(国内総生産)比の目標を念頭に、引き続き、財政健全化への取り組みを続ける姿勢を示した。

社会保障制度の見直しに伴う増税分の比率変更については「(財政健全化と教育にまわす分の)おおむね半々」と述べるにとどめた。今後、政府内で調整する考えも示した。

会見の中で、安倍首相は、10月22日投開票の衆院選の勝敗ラインにも言及し「政権選択選挙。獲得議席が過半数(233議席)に届かなければ辞任する」と語った。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

モービルアイ、自動運転支援用半導体4600万個を受

ワールド

豪BHP、西オーストラリア州ニッケル事業は8月まで

ビジネス

物価が基調的に2%近傍で上昇し続けるには「相応の時

ビジネス

訂正(発表者側の申し出)トヨタ、プリウス生産を当面
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 3

    【画像・動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲深くも「勇ましい」空軍のサルマ王女

  • 4

    パリ五輪は、オリンピックの歴史上最悪の悲劇「1972…

  • 5

    人類史上最速の人口減少国・韓国...状況を好転させる…

  • 6

    アメリカ製ドローンはウクライナで役に立たなかった

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    対イラン報復、イスラエルに3つの選択肢──核施設攻撃…

  • 10

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 7

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    温泉じゃなく銭湯! 外国人も魅了する銭湯という日本…

  • 10

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中