ニュース速報

ビジネス

SECに不正アクセス、政界や市場に動揺広がる

2017年09月22日(金)11時55分

 9月20日、米証券取引委員会(SEC)が、適時開示情報システム「エドガー」に不正アクセスがあり、未公開情報がインサイダー取引に利用された恐れがあると公表したことを受けて、政界や市場に動揺が広がっている。写真はワシントンのSEC本部。2009年7月撮影(2017年 ロイター/Jim Bourg)

[ワシントン 21日 ロイター] - 米証券取引委員会(SEC)が20日、適時開示情報システム「エドガー」に不正アクセスがあり、未公開情報がインサイダー取引に利用された恐れがあると公表したことを受けて、政界や市場に動揺が広がっている。

SECによると、不正アクセスは昨年発生。インサイダー取引に悪用されていた可能性が、先月になって判明したという。

SECは現在も調査を進めているが、不正アクセスのあった正確な時期や、具体的にどのような非公開情報が流出したかは、明らかにされていない。システムの脆弱(ぜいじゃく)性は「速やかに」修正したという。

SECを監督する下院小委員会のビル・ハイゼンガ委員長によると、SECのクレイトン委員長は20日午後、議会を「表敬訪問」し、不正アクセスについて説明。その後、不正アクセスの事実を公表した。

ハイゼンガ委員長は「極めて深刻な問題だ。規制当局として情報をどのように守るか、真剣に考える必要がある」と発言。

サイバー犯罪対策を重要課題の1つに掲げていたクレイトン委員長は、面目を失った格好だ。

全米投資家広報協会のゲイリー・ラブランシュ会長は「(会員企業は)衝撃を受け、失望している」とし、株価に異常な動きがなかったか、調査する方針を示した。

SECの委員は、不正アクセスの事実を最近まで知らされていなかったという。

今年、委員長代行を務めたマイケル・ピオワー委員(共和党)は「昨年不正アクセスがあったことを最近初めて知らされた」との声明を発表している。

<上院銀行委員会で説明へ>

クレイトン委員長は、今月26日に上院銀行委員会に出席し、不正アクセスについて説明する予定。

同委員会のマーク・ワーナー上院議員は、SECが不正アクセスの情報開示について、企業にどのような対応を義務付けているのかを聞いた上で、SEC自体の情報開示の問題を取り上げると説明している。

サイバー攻撃を受けた上場企業は、投資家への情報開示を義務付けられており、SECは情報開示のスピードに問題がなかったか調査する立場だ。

SECの元顧問マット・ロッシ氏は「『SECの言う通りにしろ、SECの真似はするな』と言ったところだろうか」とコメントした。

ロイターが入手した対外秘の報告書によると、国土安全保障省は、SECのコンピューターにサイバー攻撃に対する「重大な」脆弱性が5つあることを今年1月23日時点で把握していた。

SECは、2010年の組織再編の一環で、サイバー犯罪対策の専門部署を閉鎖している。

2015年には、SECのエドガーに「投資会社が米化粧品大手エイボン・プロダクツを買収する」との偽情報が流され、エイボン株が一時急上昇したことがある。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

情報BOX:イランはどこまで核兵器製造に近づいたか

ビジネス

マイクロソフトのオープンAI出資、EUが競争法違反

ビジネス

午前の日経平均は急落し1260円安、中東情勢が拍車

ワールド

イスラエル北部でサイレン音=イスラエル軍
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中