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緩和出口で複数意見、しっかり説明必要=6月日銀会合

2017年06月26日(月)10時40分

 6月26日、日銀が6月15、16日に開いた金融政策決定会合では、大規模な金融緩和政策を縮小する「出口」に関し、市場の不安を高めないよう、金融政策運営についてしっかり説明していく必要があるなどの意見が示された。都内で16日撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 26日 ロイター] - 日銀が6月15、16日に開いた金融政策決定会合では、大規模な金融緩和政策を縮小する「出口」に関し、市場の不安を高めないよう、金融政策運営についてしっかり説明していく必要があるなどの意見が示された。日銀が26日公表した決定会合の主な意見で明らかになった。

会合では、緩和策からの出口に対して市場の関心が高まっている背景として、日銀の資産規模の拡大に加え、「景気が改善していることが大きく影響している」との意見が出た。その政策委員は、今後も景気改善が見込まる中で「市場の不安を高めることがないよう、金融政策運営の考え方について、しっかり説明していく」必要性を訴えた。

2%の物価安定目標の実現に距離がある中で、「出口に関する真の問題は、出口の時期を見通せないことである」との意見もあった。

日銀のバランスシートが膨張を続ける中、ある委員は日銀財務の健全性をとりあげ、「中央銀行の財務の良し悪しは、通貨の信認を支える要素の一つ」と指摘。円の信認は「日本銀行のみならず、国全体の信認に依存する」との認識を示した。

市場では物価2%目標の実現に懐疑的な見方が多いが、2%の目標について「消費者物価指数の上方バイアス、金融政策の対応余地、グローバル・スタンダードの観点から堅持することが重要」など理解を求める声も出た。

一方、「2%の物価安定目標は金融政策の自由度を奪っている」とし、「中長期的な目標」への柔軟化を主張する意見もあった。

<緩和維持で実体経済サポート>

今後の金融政策運営に関しては、現行政策の維持によって需給ギャップと雇用の改善を促し続けることが、目標達成に「最も有効」との指摘があった。また「ごく短期間で物価安定目標を達成することは容易でない」といい、「緩和的な金融環境を維持し、可能な限り長く景気の拡大を持続させることが重要」など、実体経済を重視する意見が目立つ。

長期国債の買い入れに関しては、足元で保有残高を年間約80兆円増加させるペースよりも下振れているが、「現状程度の買い入れペースでは、来年にかけて買い入れの困難度合いが強まる」とし、「年間45兆円ペースまで縮小させる必要がある」と一部委員が主張。保有残高の拡大によって「ストック効果が働くため、より少ない国債買い入れで10年金利を制御しやすくなる」との声もあった。

(伊藤純夫 編集:田中志保)

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