ニュース速報

ビジネス

アングル:ハイテク株急落、米株全般には動揺波及せず

2017年06月18日(日)15時19分

 6月15日、アップルなど米ハイテク最有力5銘柄が、過去1週間で失った時価総額の合計は約1200億ドルと、ボーイングを買収できるほどに上る。それでも米国株全般の足場が揺らいでいる気配はなく、S&P総合500種は最高値圏を維持している。写真はアップルのロゴ。ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニツァで昨年4月撮影(2017年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米ハイテク最有力5銘柄のフェイスブック、アップル、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトが過去1週間で失った時価総額の合計は約1200億ドルと、ボーイングを買収できるほどに上る。S&P情報技術株指数<.SPLRCT>も15日までの5日間の下落率が、1年ぶりの大きさに達した。

それでも米国株全般の足場が揺らいでいる気配はなく、S&P総合500種<.SPX>は最高値圏を維持している。

15日にはカナコード・ジェニュイティが投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げたアルファベットが0.8%下落。バークレイズのアナリストがiPhone(アイフォーン)6のサイクルのピークが近づいており、次世代機種の販売が期待外れに終わった場合は株価が下がる恐れがあると警告したアップルも0.6%安となった。

コモンウェルス・ファイナンシャルのブラッド・マクミラン最高投資責任者はこうした動きについて「ごく普通の手控え姿勢だと思う。ハイテク株はずっと非常に堅調だった。そして突然だれもがふと我に返り、上昇が行き過ぎだと言って少しばかり敬遠し始めた」と述べた。

市場では、相場全般の値上がりに対する有力ハイテク株の寄与度があまりにも大きくなり過ぎたことへの懸念が広がっていた。

UBSセキュリティーズの米国株・デリバティブ戦略エグゼクティブディレクター、ジュリアン・エマニュエル氏は、S&P総合500種におけるそうした状況に、この4─5週間で顧客が違和感を持つようになっていたと指摘。ハイテク株セクターが調整局面入りする条件は、完全に整っていたように思われたと話した。

最近はいくつかの弱い経済指標が発表されたことも、ハイテク株の先行き懸念につながった。

ただ、過去5日間でS&P情報技術株指数が3.7%下げたにもかかわらず、S&P総合500種は0.05%安と底堅く推移した。ハイテク株から逃げ出した資金は、金融株や不動産株など他のセクターに移動しただけだったからだ。

ブラックロック傘下のグローバル・アロケーション・ファンドの共同ポートフォリオマネジャー、ラス・コーステリッチ氏は「(株以外の)安全資産に向かう幅広い動きというより、これまでの勝ち組から負け組に資金が流れている側面が強い」と分析する。

イートン・バンスのエドワード・パーキン最高株式投資責任者は「ハイテク株が軟調に推移しているこの数日間は、入れ替え売買が進行しているのは間違いない気がする。足元で値動きが良いのは、性質が債券に似た銘柄だ」と説明した。

(Lewis Krauskopf、Rodrigo Campos、Megan Davies記者)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 3

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 6

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 9

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」…

  • 10

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中