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中国の構造改革、債務増大の抑制には不十分=ムーディーズ

2017年05月26日(金)14時18分

 5月26日、ムーディーズ・ソブリン・リスク・グループの幹部は、中国の構造改革は政府債務の増加を抑制できるほど十分には進まないと予想した。写真は北京の人民大会堂。2013年3月撮影(2017年 ロイター/Petar Kujundzic)

[北京 26日 ロイター] - ムーディーズ・ソブリン・リスク・グループの幹部は26日、中国の構造改革は政府債務の増加を抑制できるほど十分には進まないと予想した。またムーディーズの別の幹部は、信用の膨張を抑えられない限り、格付けの一段の引き下げもあり得るとの見方を示した。

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、中国の自国通貨建ておよび外貨建て格付けを「AA3」から「A1」へ1段階引き下げた。「潜在成長率が低下し経済全体の債務が引き続き増加するのにつれて、今後数年で財務面の強さが一部弱まるとの予想を反映した」と説明した。

中国はムーディーズの決定を強く批判。中国財政省は格下げについて、不適切な手法に基づいており、中国経済の問題を誇張する一方、改革の取り組みを過小評価していると反発していた。

こうした中国側の反応を受け、ムーディーズ・ソブリン・リスク・グループのアソシエート・マネジング・ディレクター、マリー・ディロン氏は、債務の急速な増加に伴うリスクを抑えるため、中国当局が実施している「壮大な改革政策」に勇気づけられているとネットでの会見で発言。

ムーディーズは改革によって債務の増大スピードが遅くなるとみているものの、中国の債務が劇的に減少することはなく、増大する債務の抑制にも十分ではないと述べた。

ただ経済は引き続き着実に成長し、ハードランディングとなる可能性は低いとも示唆した。

一方、ムーディーズのクレジット戦略・基準担当バイスプレジデント、Li Xiujun氏は、ムーディーズの想定を上回るペースで債務が拡大する兆候が見られれば、中国は「A1」格付けを保持できないかもしれないとの見解を示した。

同氏は「将来的に中国の構造改革が、銀行やシャドーバンキングセクターのリスクを上昇させることなく、より効果的に債務の増大を防ぐことができれば、中国の格付けにプラスの影響を与える」と指摘。

ただ、「中国の債務が増え続け、そのペースがわれわれの想定を上回れば、深刻な資本の不適切な配分につながり、中期的に経済成長を圧迫し続けるとともに、ソブリン格付けにマイナスに影響する」とし、「中国はA1格付けの必須要件にもはやそぐわない可能性がある」と語った。

Li氏は具体的な目標債務水準や次の評価時期については言及しなかった。

*内容を追加します。

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