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WD、東芝の半導体事業売却差し止めを国際仲裁裁判所に申し立て

2017年05月15日(月)07時42分

 5月15日、東芝再建策の柱であるNAND型フラッシュメモリー事業の売却をめぐり、同事業の合弁相手である米ウエスタン・デジタル(WD)は、国際的な調停機関に売却差し止めの仲裁を申し立てた。1月撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

[東京 15日 ロイター] - 東芝<6502.T>再建策の柱であるNAND型フラッシュメモリー事業の売却をめぐり、同事業の合弁相手である米ウエスタン・デジタル(WD)は、東芝による一方的な事業売却は合弁契約に反しているとして国際的な調停機関に売却差し止めの仲裁を申し立てた。

WDは東芝が今年4月に行った同事業の分社化の撤回も求めている。仲裁判断の内容によっては、同事業売却が難しくなり、東芝本体の再建計画が見直しを迫られる可能性もある。

WDが米サンノゼから現地時間の14日(日本時間15日朝)に発表した声明によると、同社は、自社の同意なしに東芝が同事業の持ち分を新会社である東芝メモリに移転したこと、さらに同社を売却することは合弁契約に違反していると主張。分社化による持ち分移転の撤回と売却の差し止めを命じるよう、国際商業会議所(ICC、本部パリ)の商事紛争処理機関である国際仲裁裁判所に仲裁を求めた。

両社間の対立点は、合弁契約にある「チェンジ・オブ・コントロール(支配権の変更)」条項の解釈だ。契約には、合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要と明記されている。この条項が今回の事業売却に適用されるかどうかについて、両社の見解は異なっており、溝は埋まっていない。

東芝側は、今年4月、同事業における自社の持ち分50.1%を東芝メモリとして分社化し、同社の売却を検討している。合弁契約にある「支配権の変更」条項については、「事業の子会社自体が買収されれば支配権も移転するので、東芝がWDから同意を取り付ける必要はない」と説明。その理由として、同事業はかつて米サンディスクとの合弁事業であり、その持ち分をWDが買収した際、東芝側が同意を求められた経緯はなかったと指摘している。

これに対し、WDは東芝が合弁の持ち分を新設の子会社に移転し、その子会社を第三者に売却したとしても、合弁契約上の義務を回避することはできないと主張する。

同社は「支配権の変更に同意がいらなくなるのは、あくまで契約主体である東芝本体が売却される場合であり、今回の子会社売却には適用されない」と指摘。自社の傘下にあるサンディスクの同意なしに東芝が事業を売却するのは契約に反しているとしている。

声明の中でWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)は、「仲裁による差し止め申し立ては、我々が最も希望する選択肢ではない」としながらも、「問題解決に向けた他の努力はすべて失敗に終わった。今は法的な手段に訴えることが次に必要なアクションであると信じている」とコメントしている。

東芝は米原発子会社ウエスチングハウスの破綻などによる巨額の損失を穴埋めするため、同事業を2兆円以上で売却したい意向だ。すでに米ファンドのコールバーグ・グラビス・ロバーツ(KKR)が日本の官民ファンドである産業革新機構(INCJ)との共同応札を検討するなど、複数の陣営が関心を示し、売却先の選定交渉が続いている。

ある関係者によると、WDも買収の意向を示しているが、同社の提示額は2兆円を下回っているという。WDに対しては、KKR・INCJ連合に少数株主として参加するよう日本政府が打診しているが、WD側は同事業の支配権を要求しており、交渉は進んでいない、と別の関係者は話す。

国際仲裁裁判所による「仲裁判断」は最終判決に相当する結論で、それに対して上訴することはできない。入札手続き差し止めの命令が下れば、東芝のメモリ事業売却計画が進まず、来年3月末までの債務超過の解消が困難になるだけでなく、上場廃止のリスクが高まる。

さらに、分社化そのものが無効とされれば、東芝メモリの株式を担保に差し入れて主要行からの融資を確保しようという東芝の思惑が外れる事態も予想され、経営再建の先行きに一段と不透明感が増す懸念がある。

(山崎牧子 取材協力: Liana Baker)

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