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ECB緩和策巡り内部の亀裂鮮明、独出身者は出口戦略の策定主張
3月27日、ECB専務理事が超緩和的な金融政策について異なる見解を表明し、ドラギ総裁下の政策運営の方向性を巡り、支持派、反対派の溝の深さがあらためて浮き彫りとなった(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach )
[フランクフルト 27日 ロイター] - ドイツ出身の欧州中央銀行(ECB)当局者2人は27日、経済状況が正当化すれば、できる限り早期に金融緩和策の解除に着手するよう求めた。
ワイトマン独連銀総裁とラウテンシュレーガー専務理事がそろって緩和策からの出口に言及したことで、ドラギECB総裁下の金融政策の方向性にドイツが不満を強めていることがあらためて浮き彫りとなった。
また超低金利政策と資産買い入れ策を巡り、支持派、反対派の間に深い溝が存在することも露呈した。
ECBのチーフエコノミストで、ドラギ総裁に近いプラート専務理事は、ユーロ圏はなお著しい金融刺激が必要との立場を表明。
一方で、 ラウテンシュレーガー専務理事は、ECBが政策スタンスの変更について協議するのは時期尚早としながらも、異例の金融刺激からの最終的な出口に向け備える必要があるとの見解を示した。
ワイトマン総裁は「拡張的なスタンスが後退することを望む」とし、ラウテンシュレーガー専務理事と共に、原油高を背景とする物価上昇が持続可能な状況になれば、緩和刺激策からの出口策定を開始すべきとの立場を示した。
ユーロ圏でインフレ上昇や成長加速の兆しが出ている中、金融緩和に反対する向きは金融刺激のアクセルから足を外すか、少なくとも将来的な金融緩和策からの出口について協議を開始すべきと主張している。
ラウテンシュレーガー専務理事はCNBCに対し、指標が引き続き良好なら、ECBは6月以降、次のステップについて協議し決定することができると指摘。
「指標が安定し、物価安定の目標に向けた持続可能な軌道が確保でき次第、われわれは政策変更に備える必要があり、そうすることで実行へ万全の準備が整う」とした。
一方、プラート専務理事は、ECBが時期尚早に金融緩和を解除すれば、インフレ上昇は頭打ちとなるか、低下に向かう恐れさえあるとし、よりハト派的な見方を示した。
「このところのインフレ上昇は一時的な要因が押し上げており、静観する必要がある」と指摘。
その上で、基調的なインフレ圧力を押し上げ中期的に総合インフレを支援するためには、「かなりの程度の金融緩和が依然必要だというのがわれわれの結論だ」と述べた。
ただ、消費者信頼感や企業の景況感が上向く中で、ユーロ圏の景気回復は裾野を広げながら継続するだろうとし、回復の勢いが増すとの見方を示した。
だがプラート専務理事は、成長見通しが改善しても「資産買い入れの出口について協議することは時期尚早」と言明。資産買い入れ終了後も当面は金利を現行水準か、これを下回る水準に維持するとのフォワードガイダンスを支持する立場を示した。
ECB理事会メンバーのスメッツ・ベルギー中銀総裁も、「われわれのフォワード・ガイダンスは明確であって、われわれはそれを堅持すべき。この問題について他の考え方があるなら、それは少数派の立場を反映したものだ」とした上で、「金融スタンスは、金利や資産買い入れプログラム、フォワード・ガイダンスを含め、引き続きわれわれが決定した通りだ」と言明した。
ECBは4月27日に次回理事会を開催する。