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足元の大幅なポンド安無視できず、11月会合で考慮=英中銀総裁
10月25日、カーニー英中銀総裁は11月会合でポンド安が議題となるのは確実との認識を示した。写真は10ポンド紙幣。3月16日撮影。(2016年 ロイター/Phil Noble )
[ロンドン 25日 ロイター] - イングランド銀行(英中銀)のカーニー総裁は英上院委員会で証言し、足元のポンド下落は「かなり著しい」として、インフレが目標を上回る状況を許容するには限度があるとの認識を示した。
総裁は「金融政策委員会がインフレのオーバーシュートを静観するにも限界がある」とし、11月3日の金融政策会合では、最近のポンド安を「間違いなく」考慮すると述べた。
インフレ率は9月までの1年間に1.0%だったが、来春までに1.5%─1.8%に加速する可能性を指摘した。
英中銀は9月、景気が予想通り減速すれば年内の追加利下げはあり得るとの立場を示したが、ポンド安や想定外に底堅い経済指標を受け、11月の利下げ観測は後退している。
RBSのエコノミスト、ロス・ウォーカー氏は「英中銀は通貨安をめぐる懸念から11月は追加利下げを見送る公算が大きい」とし、中銀はポンド安に対する警戒をかなり強めているようだと話した。
カーニー総裁は「欧州連合(EU)離脱交渉の正式な開始時期や将来のEUとの政治的関係に関する市場の見方が明確になるのに伴い、ポンド相場は本格的に反応し始めた」とし、中銀はインフレへの影響を評価する上で、ポンド安がどの程度続くのか見極める必要があると述べた。約3年後には、ポンド安による影響が薄れ、インフレ率は大きく低下するだろうとした。
ポンドはこの日、「フラッシュクラッシュ」に見舞われた10月7日以来の安値に沈んだが、カーニー総裁の発言を受けて下げ幅を縮めた。
<政治的な圧力>
メイ英首相が低金利など金融緩和策には「悪い副作用がある」と批判したことをめぐっては、首相は金融政策運営の変更を提案したわけではないと考えていると述べた。
だが中銀の独立性に疑問が生じれば、ポンドに打撃を与えるとともに、政府の借り入れコストを押し上げるとの見解を示した。
自身の任期については、延長の是非を検討する上で、政治家からの批判は決定の要因にはならないと指摘。個人的な事情にかかわるもので「この仕事に全身全霊を捧げられるかどうかで判断する」とした。
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