ニュース速報

ビジネス

ドイツ銀の救済策準備報道、独政府が否定

2016年09月29日(木)04時20分

 9月28日、ドイツ財務省は、ドイツ銀行が米当局との和解金を支払えない場合に備えて政府が救済策を準備しているとの現地ツァイト紙の報道を否定した。写真はフランクフルトのドイツ銀本店、1月撮影(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

[フランクフルト 28日 ロイター] - ドイツ政府は28日、住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売をめぐり米司法省から最大140億ドルの支払いを求められているドイツ銀行の救済に向けた用意を進めているとの報道を否定した。

独紙ツァイトは同日、ドイツ銀が多額の和解金を支払えない場合に備え、政府と金融当局が救済策を準備していると報道。救済案によると、ドイツ銀は他の金融機関に、同行の負担を軽減する価格で資産を売却することが可能となるほか、緊急時には、政府が25%のドイツ銀株式を取得することも可能となる。ただ、独政府は依然として、ドイツ銀が政府支援を必要としないことを望んでおり、支援の可能性についてのシナリオを検討しているのみと報じた。

独財務省はツァイト紙の報道を否定。広報官のナディーン・カルベイ氏は電子メールの声明で「連邦政府は救済策を準備していない。そのような観測には何の根拠もない。ドイツ銀も明確に、同じことを説明している」と述べた。

財務省が政府支援について否定したにもかかわらず、独国内の議員からは政府に対する批判の声が上がった。左派のSahra Wagenknecht議員は、政府がドイツ銀の危険なビジネスモデルに対処せず、「納税者に時限爆弾」を仕掛けたようなものだと非難した。

ドイツ連邦金融サービス監督庁(BaFin)がドイツ銀の救済策を準備していないと関係筋2人が明らかにしたことも、ドイツ銀救済をめぐる観測に冷や水を浴びせた。

ドイツ銀をはじめとする国内銀行が直面している問題について、欧州中央銀行(ECB)の低金利政策が一因との指摘が聞かれる中、ドラギECB総裁は反論。記者団に対し「銀行がユーロ圏にシステミックな脅威を及ぼすなら、低金利が理由となるはずがなく、他の原因が存在するに違いない」と言明。独政府がドイツ銀を支援すべきかについては、個別行の問題にコメントしないと語った。

多額の訴訟関連費用などに対処するため、非中核事業の売却を進める中、ドイツ銀はこの日、英保険アビー・ライフを英保険大手フェニックス・グループ・ホールディングスに約12億ドルで売却すると発表した。これまでに保有する中国・華夏銀行<600015.SS>の株式売却なども明らかにしている。

ゴールドマン・サックスのアナリストは同日、米MBS不正販売問題に絡むドイツ銀の費用が28億─81億ドルになると試算。他のアナリストは、コストが50億ドルを超えることになれば、増資が必要となる公算が大きいとの見方を示している。

前日過去安値を更新したドイツ銀の株価はこの日、2%高で取引を終えた。年初以降約50%下落している。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中