ニュース速報
ビジネス
情報BOX:欧州銀ストレステストの主な注目点
7月28日、欧州連合(EU)加盟国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は、29日2000GMT(日本時間30日午前5時)に銀行ストレステスト(健全性審査)の結果を発表する。写真はEUの旗。ローマで2007年3月撮影(2016年 ロイター/Tony Gentile)
[28日 ロイター] - 欧州連合(EU)加盟国の銀行監督当局を統括する欧州銀行監督機構(EBA)は、29日2000GMT(日本時間30日午前5時)に銀行ストレステスト(健全性審査)の結果を発表する。
以下はストレステストの主な注目点。
<テストの形式>
これまでとは異なり、合格、不合格は示されない。代わりに欧州中央銀行(ECB)が審査結果を受けて各行の資本目標を設定する。
アナリストは、経済や金融市場に大きなショックが起きたと仮定した際に銀行のコア自己資本比率が5.5%を下回ると判断されるかどうかに注目する見通し。
EBAは2014年実施のストレステストでこの基準を用いて銀行健全性を判断した。
この基準を下回る銀行は、投資家から可能な限り早期の資本増強を迫られることになるだろう。
<テストのシナリオ>
テストで想定される「厳しいシナリオ」では、3年間にわたって以下の4つのリスクに銀行がどのように対応できるかを審査する。
1)流動性の低い市場で債券利回りが非常に低い水準から急上昇する事態。
2)景気低迷で銀行の収益性が乏しい状況。
3)公的・民間債務をめぐる懸念の高まり。
4)「シャドーバンキング」セクターの急拡大によるストレス。
今回のテストでは初めて銀行の運営リスクが審査され、不正行為で規制当局から巨額の罰金を科せられた場合にどの程度うまく対応できるかなどが判断される。
<注目の銀行>
*イタリア
イタリアの銀行システムは約3600億ユーロ(4000万ドル)の不良債権を抱えており、EU主要国の中で最も脆弱(ぜいじゃく)だ。
4行がテストを受けるが、国内3位のモンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)
バークレイズのアナリストは、モンテ・パスキが最も厳しいシナリオの下でコア自己資本比率が5.5%を下回る唯一の銀行になると予想する。
一方、国内最大手ウニクレディト
同行は、 金融安定理事会(FSB)が指定する、世界の金融システム上重要で資本上乗せ規制の対象となる銀行に含まれる国内唯一の銀行で、上乗せは1%。
したがって市場は同行のコア自己資本比率がテストのシナリオの下で6.5%を上回るかどうかに注目するだろう。
大方のアナリストはウニクレディトがこの基準を達成するとみている。
*ドイツ
ドイツ銀行
同行のコアTier1(狭義の中核的自己資本)比率は2015年6月時点の11.4%から昨年末に10.8%に低下。大方のライバル行の比率を下回っている。
この水準はECBが中期的に求める水準や、同行の目標12.5%を大幅に下回る。
ドイツ銀も、世界の金融システム上重要な銀行(G─SIBs)に指定されており、資本上乗せは2%。
今回のストレステストは、銀行の訴訟リスクも精査する。
ドイツ銀は2012年以降、市場の不正操作などをめぐり120億ユーロ超の訴訟費用に直面。今後の和解関連費用として50億ユーロの引当金を計上している。
アナリストは、ストレステストで同行の訴訟リスクがどの程度資本を圧迫すると判断されるかに注目している。
*フランス
国内最大手BNPパリバ
バークレイズのアナリストはBNPパリバについて、モンテ・パスキ、ウニクレディト、ドイツ銀と同様にストレステストのシナリオ下で低い資本水準となる可能性が高いと指摘している。
一方、BNPパリバは、6月末時点のコアTier1比率は11.1%で、ストレステストの結果について懸念していないと表明した。
<テストの対象>
今回のEBAのテストは2014年の前回の審査対象だった123行の半分以下(51行)が対象。
ポルトガルの銀行は1行も含まれていない。
ギリシャの銀行も対象外だが、同国の4大銀行に関してはECBが2015年に包括的な審査を実施した。
ECBはEBAの審査対象になっていない他の56行へのテストも実施した。結果は公表されないが、各行が独自に発表することが可能。