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アングル:本国再上場目指す中国企業、一獲千金狙いの対象に

2016年06月30日(木)17時18分

 6月30日、海外での上場を廃止して上海や深センへの再上場を目指す中国企業に出資するファンドに、投資家が殺到している。写真は上海で23日撮影(2016年 ロイター/Aly Song)

[上海 30日 ロイター] - 海外での上場を廃止して上海や深センへの再上場を目指す中国企業に出資するファンドに、投資家が殺到している。規制当局が横やりを入れるリスクもあるが、巨額の利益を得られる可能性に引き付けられている。

ニューヨークや香港市場での上場を取りやめ、中国本土で再上場を果たせば、企業は通常、ずっと高いバリュエーションを享受できる。バリュエーションが高くなるのは、中国では上場認可を得るのが難しく、拡大する需要に対して株式が不足していることが背景にあるという。

上海を本拠とするペガサス・コーポレート・アドバイザリーの創業パートナー、マイケル・ユアン氏は「海外に上場していた中国企業が中国本土に再上場すれば、投機の対象になりがち。業績はたいしたことがなくとも、バリュエーションが急増することはよくある」と指摘する。

中国市場の新規上場株は、初日に40%上昇することも珍しくない。ダミー会社を使った「裏口上場」では、さらに大きな利益が見込める。

重慶新世紀遊輪<002558.SZ>は1カ月で株価が7倍になった。同社には、30億ドル規模の株式非公開化を通じニューヨーク上場を廃止した中国のオンラインゲーム開発会社、巨人網絡が資産を注入している。

証券当局によると、過去3年間で5社の海外上場会社が中国本土市場に戻って再上場した。投資銀行のCICCによると、Ku6メディアやアイドリームスカイ・テクノロジーなどを含む少なくとも39社が2015年以降、株式非公開化計画を発表している。

中国市場での再上場を目指す企業は通常、何階層にもなる複雑な取引を通じて、海外上場株を買い取るための資金を調達することになる。

典型的な例では、当該企業の創業者や経営幹部が外部投資家から資金を調達するためのSPVを設立。資産運用会社がSPVに投資するための権利を購入、ファンドを立ち上げて個人やグループからの出資を募る。最低投資額は100万元(約15万ドル)というケースが多い。

<大きなリターン>

上海に本拠を置くウェルスマネジメント会社のトラスト・ウェルスは、ボナ・フィルム・グループの再上場に投資するファンドを組成。3─5年のリターンは500─800%と顧客に説明している。

また、プライベートエクイティ(PE)会社パーフェクト・キャピタルは、香港市場に上場している大連万達商業地産<3699.HK>の本土再上場から利益を得ることを目指すファンドを投資家に売り込んでいる。

宣伝文句によれば、相場上昇局面においては向こう3年間に年38.4%、横ばい相場の場合には年18.5%のリターンが得られる。

奇虎360科技の非公開化も人気だ。中国PE会社エテルナム・ステラによると、4月に7億元近い資金調達を完了したという。

同PE会社は「質の高い資産が非常に不足していることから、奇虎360科技の非公開化スキームには、熱狂的な需要が集まっている。応募倍率が20倍に達しているところもある」としている。

ただ、こうしたスキームで利益が得られるという保証はまったくないため、規制当局は、個人投資家が大損を被る可能性を懸念している。

規制当局は今月、ダミー企業への投機を抑制するため、上場会社の再編に関するルールを厳格化すると発表。5月には、再上場の影響や、国内・海外株のバリュエーションの差を分析している、としていた。

その後、米上場の中国のビデオストリーミングウェブサイト会社YYは、「好ましくない市況」を理由に非公開化を撤回している。

*見出しを修正しました。

(Samuel Shen記者、Pete Sweeney記者 翻訳:吉川彩 編集:田中志保)

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