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焦点:中国保険大手にタイタニック級リスク、高収益狙いで
6月26日、中国の保険大手によるハイリスク・ハイリターンの「オルタナティブ資産」投資が大幅に拡大している。写真は中国平安保険の看板。2013年2月、深セン市で撮影(2016年 ロイター/Tyrone Siu)
[香港 26日 ロイター] - 中国の保険大手によるハイリスク・ハイリターンの「オルタナティブ資産」投資が大幅に拡大している。景気減速をきっかけに多額の債権が債務不履行に陥ればバランスシートが大きく毀損する恐れがある。
中国保険監督管理委員会(CIRC)によると、中国の保険業界は2010年以降で保険料収入が13.4%増えた。しかし金利が低く、株式市場も不安定なため、リターン確保のためにオルタナティブ資産への投資を増やしている。
ロイターが平安保険<601318.SS>や新華人寿保険<601336.SS>など上場保険大手5社の決算書類を調べたところ、株式や債券、現金など伝統的な資産以外のオルタナティブ資産が過去5年間に4倍に増え、9840億元(1500億ドル)に達していた。
大手5社はオルタナティブ投資の全資産に対する比率が約16%と2011年の5%から上昇し、資産クラスとしては債券に次いで2位に浮上した。オルタナティブ資産には信託商品や理財商品など、透明性が低くてリスクの高い、「影の銀行」に関連する資産が含まれる。
アナリストによると、こうした投資の大半は、負債を抱えた国有企業や民間企業に流れ、デフォルトのリスクが高まっている。
公式統計によると、折しも銀行の不良債権比率は約2%と11年ぶりの高水準に達した。一部の銀行は問題のある融資の把握や、こうした融資のバランスシートからの切り離しが遅々として進んでおらず、アナリストの間では事態は一層悪化しているとの見方が大勢だ。
しかも信託商品や理財商品などは流通市場がなく、投資スパンが長いため、値下がりしたときに換金が難しい。
ナイトホーク・キャピタルの中国株ポートフォリオマネジャー、トーマス・モナコ氏は「ハイリスク・ハイリターン資産への投資は『タイタニック号』級に増えている。沈没すれば、救命ボート一隻では救助しきれない」と話す。
一部の保険会社は保険料収入を伸ばすため、高リターンの短期の保険商品の販売を強めている。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアジア金融機関担当バイスプレジデントのサリー・イム氏は「顧客に高いリターンを提供するため、高利回りを獲得できる投資戦略を積極的に進めざる得ない」と話す。
企業別では、新華人寿保険ではオルタナティブ資産への投資が2014年から5倍以上に急増。一方で定期預金への投資は23.7%、株式は約2%それぞれ減った。同社の昨年の業績は34.3%の増益で、投資収入の増大が主因だった。
上海証券報は先に、CIRCが保険会社の株式、プライベートエクイティ、不動産などへの投資について、リスク管理への調査に着手したと報じた。
(Sumeet Chatterjee記者)