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企業の不正を調査・空売り、米グラウカスが日本株投資へ 7月めど
6月23日、上場企業の不正を調査・発見し、空売りをする米グラウカス・リサーチ・グループ(本社・米カリフォルニア州)は、7月にも日本株投資を開始する。写真は都内で昨年7月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 23日 ロイター] - 上場企業の不正を調査・発見し、空売りをする米グラウカス・リサーチ・グループ(本社・米カリフォルニア州)は、7月にも日本株投資を開始する。コーポレートガバナンスの重要性に対する認識が広まる中、東芝<6502.T>やオリンパス<7733.T>のような企業不祥事に対する株主の目が厳しさを増しており、日本でも同様の調査を踏まえた投資チャンスが多いと判断した。
グラウカスのディレクター、ソーレン・アンダール氏によると、同社はこのほど、日本株投資を始めるにあたり、リサーチの専門家を1人採用した。日本に拠点を構えるか、どの程度の規模のチームに拡大するかなどは現時点で未定。状況に応じて判断するという。
グラウカスは、利益の水増しや資金の流用などによって業績が本来の数字より大きく開示され、株式や債券が本来の価値から不当に高く評価されている銘柄を抽出し、空売りをすることで知られる。主に、富裕層からの資金を集め、投資している。
これまでに米国、香港、インドなどの計22銘柄に投資をし、うち5社の経営者は証券詐欺で告訴された。
グラウカスは、日本でも不祥事を発掘し、最低50%の株価下落が見込める銘柄を狙うという。セクターなど詳しい内容については明言を避けた。
投資先を決めるにあたり同社は、約1000社の候補をスクリーニングし、1銘柄あたり500─600時間をかけて調査を行う。実際に空売りした銘柄についてはホームページで調査レポートを開示する。
日本株投資を始める際も、サイトにリサーチを掲載する方針。
日本では東芝の会計不祥事があったばかり。監査法人が企業の決算を了承している限りは、不正を見抜くのは困難だが、グラウカスは有価証券報告書や決算短信、開示書類の脚注にある記載などを徹底的に調べれば、不正を発見できるとしている。
同社のディレクター、ソーレン・アンダール氏は、証券会社の「リサーチレポートの質は低い。われわれの質の高い調査が不正の抽出につながり投資アイデアを生む」と話している。
(江本恵美)