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三菱自が日産と本契約、提携内容具体化急ぐ

2016年05月25日(水)23時10分

 5月25日、三菱自動車は、開発担当の副社長として日産自動車元副社長の山下光彦氏(63)を迎える人事を発表した。三菱自の益子修会長兼最高経営責任者(CEO)(67)は社長も兼務する。写真は都内で4月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 25日 ロイター] - 三菱自動車<7211.T>は25日、日産自動車<7201.T>との資本業務提携契約を正式に締結した。日産は三菱自の資産査定を進め、両社は同時に提携内容の具体化を急ぐ。

燃費不正が起きた開発部門を立て直すため、同部門担当副社長として日産の山下光彦技術顧問(63)を迎える人事が内定。益子修会長(67)の当面の社長兼務も決めた。いずれも6月24日の株主総会後の取締役会で正式決定する。

益子会長は同日夕、記者団に対し、山下氏の起用について、大きな問題を抱える開発部門の改革には「外部の目・力が必要だ」とし、喫緊の課題として不正の「全容解明と再発防止策の構築に全力で取り組む」と述べた。また、今秋の日産出資後、年内に開く「臨時株主総会後、新体制発足」の時点で会長と社長を辞任する意向を示した。次期社長は「新体制になって日産も含めて考えていただく」という。

山下氏は「まずは詳しくいろいろな人に話を伺い、問題の本質がどこにあるかを知り、日産での経験を生かして改革に取り組みたい」と話した。同氏は日産で2005年から14年まで研究開発担当副社長を務めEV開発などを手掛け、仏ルノーとのアライアンス、独ダイムラーなどとの提携事業でも経験を持つ。

さらに財務経理担当副社長として三菱東京UFJ銀行から池谷光司専務執行役員(58)を招き、三菱商事<8058.T>出身で三菱自の白地浩三常務執行役員(63)を副社長に昇格させる人事も内定。池谷氏は同行で長年、企業の再生案件を手掛け、白地氏は三菱商事で自動車事業を担当、今年4月には三菱自の常務執行役員に就任していた。

<車種さらに削減、水島での生産継続>

益子会長は、三菱自としてこれまでも生産開発体制のスリム化を進めてきたが、提携拡大で「もう一歩踏み込んでいける」と述べ、減らしてきた車種も「まだ多いかもしれない。思い切って見直さないといけない」としてさらに削減する方針を示唆。不正が発覚した軽自動車4車種の生産拠点、水島製作所(岡山県倉敷市)では今も再開のめどが立っていないが、水島での継続が「提携の大きな狙い」として生産を続ける考えを示した。

日産は10月ごろに三菱自株34%を取得し筆頭株主になる予定。両社は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車での連携、部材の共同購買や生産拠点の相互活用など具体的な提携内容を詰める。

三菱自生え抜きで開発部門に長年携わってきた相川哲郎社長(62)と中尾龍吾副社長(63)が不正問題の責任を取って6月24日付で辞任する。三菱自は同部門の風土改革を進めるため、日産に同部門トップの派遣を要請していた。

*内容を追加して再送します。

(白木真紀 編集:山川薫)

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