ニュース速報

ビジネス

シェンゲン協定廃止、EU経済に10年で1.4兆ユーロの打撃=調査

2016年02月23日(火)10時36分

 2月22日、ドイツのベルテルスマン財団は、欧州を国境検査なしで自由に移動できる「シェンゲン協定」が崩壊した場合、欧州連合(EU)は今後10年にわたり最大1兆4000億ユーロの経済的打撃を受けるとの試算を発表した。写真はブダペストで2011年11月撮影(2016年 ロイター/Laszlo Balogh)

[ベルリン 22日 ロイター] - ドイツのベルテルスマン財団は22日、欧州を国境検査なしで自由に移動できる「シェンゲン協定」が崩壊した場合、欧州連合(EU)は今後10年にわたり最大1兆4000億ユーロの経済的打撃を受けるとの試算を発表した。

最悪のシナリオとして、EUの国境管理を復活させた場合、輸入価格は最大で3%上昇し、今後10年間の経済的影響はドイツで2350億ユーロ、フランスは2440億ユーロに達する。

輸入価格の上昇が1%にとどまった場合、今後10年間のEUへの影響は約4700億ユーロになる。

最悪のシナリオ下では、EUへの経済的影響は最大1兆4000億ユーロとなり、EU28カ国の年間国内総生産(GDP)の約10%に達する。

ベルテルスマン財団の代表は「仮に欧州で国境管理が再開されれば、既に軟調な経済成長にさらなる圧力がかかる」と指摘した。

シェンゲン協定は30年以上前に発効し、現在26カ国が参加している。そのうち22カ国はEU加盟国。ただ、欧州へ押し寄せる中東やアフリカからの難民に対応するため、一部の国では国境管理を昨年秋から一時的に復活しており、EUの移動の自由の理念が揺らいでいる。

ベルテルスマン財団は、シェンゲン協定崩壊はユーロ圏外の国にも影響を及ぼすとし、米国と中国への経済的影響は今後10年で910億─2800億ユーロに達すると試算している。

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米石油・ガス業界のM&A、第1四半期は過去最高の5

ビジネス

米テスラ、メキシコ・インドの工場新設計画が不透明に

ビジネス

午前の日経平均は大幅続伸、ハイテク強い 先物主導で

ビジネス

今期事業計画はかなり保守的=永守ニデックグループ代
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 8

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中