ニュース速報

ビジネス

リスク回避でドル一時110円台、その後112円まで反発=NY市場

2016年02月12日(金)07時50分

 2月11日、ニューヨーク外為市場ではドルが下落、一時110円台をつけた。世界経済減速懸念や銀行セクターの健全性に対する不安を背景に、米株安や米債券利回りの低下、円買いの動きが継続した。都内で2013年撮影(2016年 ロイター/Shohei Miyano)

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。特にドルは円に対して一時110円台に急落。世界経済減速懸念や銀行セクターの健全性に対する不安を背景に、米株安や米債券利回りの低下、そして安全資産とされる円買いの動きが継続した。

しかし安値を付けた後は、緩やかに112円台まで反発した。

ドル/円 JPY= は一時約2%下落、約1年3カ月ぶり安値となる110.98円を付け、その後持ち直して終盤は1%安の112.18円で取引されていた。

日銀は1月29日にマイナス金利政策の導入を決め、理論的にはこれで円安に転じると考えられていたが、政策効果に対する懐疑的な見方が台頭して、市場参加者は従来の経済ファンダメンタルズにとらわれず円買いを進めた。

バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチ(ニューヨーク)のFXストラテジスト、イアン・ゴードン氏は「日銀のマイナス金利政策発表以降のドル/円の動きが示すものは、その政策が持続可能ではなく効果的でもないと市場が考えているというメッセージだ」と指摘する。

ゴードン氏は「このため円がこれほど強くなった。市場の見立ては、日銀の政策はうまくいかないということだ」とも語った。

主要通貨に対してドルを押し下げたもう一つの要因は、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ観測の後退。

FRBのイエレン議長はこの日、米上院銀行委員会で2日目の議会証言を行い、今年は段階的に利上げを行う見通しではあるものの、世界的需要の減少や株式市場の下落を受け、想定以上のペースで金融市場の引き締めが起こっているとの考えを示した。

ユーロ/ドル EUR= は約3カ月半ぶり高値となる1.1368ドルに上昇後、終盤の取引では0.45%高の1.1339ドルとなっている。ドルの主要6通貨に対するドル指数 .DXY は、直近0.4%安の95.52だった。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)のチーフ市場アナリスト、オマー・エシナー氏は「中銀が資産価格を押し上げ続けられるかどうかについて日々懸念が強まっている」と述べた。

ドル/円 NY時間終値 112.39/112.44

前営業日終値 113.34

ユーロ/ドル NY時間終値 1.1319/1.1321

前営業日終値 1.1287

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報

ビジネス

米中堅銀、年内の業績振るわず 利払い増が圧迫=アナ

ビジネス

FRB、現行政策「適切」 物価巡る進展は停滞=シカ

ビジネス

英インフレ、今後3年間で目標2%に向け推移=ラムス
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中