ニュース速報

ビジネス

アングル:インバウンド需要は「コト消費」へ、地方に恩恵も

2016年02月08日(月)19時21分

2月8日、訪日外国人による「インバウンド」消費では、観光客の消費パターンにも変化が出始めている。銀座で4日撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

[東京 8日 ロイター] - 日本の消費を支える規模にまで急拡大してきた訪日外国人による「インバウンド」消費。2015年は日本への旅行に使った総額が3兆円を突破するという熱狂ぶりのなかで、観光客の消費パターンにも変化が出始めている。

繰り返し来日するリピーターが増加し、モノを買うだけでなく、サービスを体験する「コト消費」への支出が増加。さらに地方にも恩恵が広がりつつある。

訪日観光客でにぎわう三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>の新宿店や銀座店では、ちょっとした「異変」が起きている。1月の免税売上高をみると、顧客一人当たりの買い物額(客単価)が前年に比べて10%程度、額にして1万円程度下がっているという。

中国経済の減速や株価下落の影響を疑いたくなる現象だが、業界関係者は「観光客の支出先が多様化していることが背景にある」(大手百貨店関係者)とみる。

新しい消費トレンドの一つは、日本の「おもてなし」が体感できる美容室やネイルサロン、エステなど。リクルートホールディングス<6098.t>は「2016年のトレンド予測」の中で、日本の美容サービスに訪日外国人の熱い視線が集まっていると指摘、「インバウンド」ならぬ「美(ビ)ンバウンド」という言葉で流行の兆しを予想した。

14年10月に免税対象が化粧品や食料品などの「消耗品」に拡大されて以降、免税売上高に占める消耗品の比率は徐々に上がっている。花王<4452.T>でも、15年の化粧品の免税売上高が160億円と前年の70億円から倍増した。

ただ、沢田道隆社長は「人民元の動向に加え、モノからコトに消費が移ってきたりしており、このまま伸びるかと言うと、それほど上手くいくものではない」と慎重な姿勢。化粧品などの品質の高さと相まって、「日本は美容で憧れる国の第一位」(リクルート)になっているが、美容に関するインバウンド需要は化粧品だけでなく、さらに大きな広がりを見せている。

「コト消費」が伸びている背景には、訪日リピーターの増加がある。観光庁によると、昨年10―12月期の訪日客のうち、初めて訪れたのは約4割、6割が2回目以上。10回目以上も14%に上った。また、団体ツアーは23%で、個人旅行パッケージや航空券と宿泊などを個人手配する旅行が増えている。

日本への旅に習熟したリピーターや個人旅行者は、地方にも足を延ばしている。JTBによると、訪日旅行者向け宿泊・ツアー予約サイト「JAPANiCAN.com」において、春節時期に前年同期で3倍以上の予約となっている都道府県は沖縄や福岡など12県あるが、いずれも東京・大阪を結ぶ「ゴールデンルート」以外の地域になっている。また「今年の春節は47都道府県全てで宿泊予約が入った。これまでにはなかったこと」(広報室)という。

今年の春節は、5日から開催されている雪まつりの時期と重なったこともあり、北海道が人気化しているという。

昨年、外国人が日本への旅行に使った3兆円という金額は、全国の百貨店売上高の約半分の規模に匹敵する。海外経済の減速が懸念される中、「インバウンド」消費の変化をどう取り込むかが流通・サービス業界の大きな課題になりつつある。

(清水律子 編集:北松克朗)

ロイター
Copyright (C) 2016 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

ニュース速報

ビジネス

明治安田生命、円高局面でオープン外債積み増し=17

ビジネス

新日鉄住金、スペースワールド跡地利用でイオンモール

ビジネス

クレジット資産に3年で2兆円、外貨建て事業債投資を

ワールド

オバマケア補助金停止なら政府の負担23億ドル増加=

MAGAZINE

特集:国際情勢10大リスク

2017-5・ 2号(4/25発売)

北朝鮮問題、フランス大統領選、トランプ外交──。リーダーなき世界が直面する「10のリスク」を読み解く

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    25日に何も起こらなくても、北朝鮮「核危機」は再発する

  • 2

    北朝鮮ミサイル攻撃を警戒、日本で核シェルターの需要が急増

  • 3

    ヘンリー王子が心の問題を告白 その背景にあるものとは

  • 4

    ロシア軍が北朝鮮に向け装備移動か 大統領府はコメ…

  • 5

    フランス大統領選、マクロンとルペンの決選投票へ

  • 6

    「いま米軍が撃てば金正恩たちは全滅するのに」北朝…

  • 7

    トランプ、日中首脳と電話会談 25日の北朝鮮軍創建…

  • 8

    フランス大統領選決選投票、ルペンは「手ごわく危険…

  • 9

    もし第3次世界大戦が起こったら

  • 10

    北朝鮮、米原子力空母攻撃の用意ある=労働党機関紙

  • 1

    25日に何も起こらなくても、北朝鮮「核危機」は再発する

  • 2

    米空母「実は北朝鮮に向かっていなかった」判明までの経緯

  • 3

    ロシア軍が北朝鮮に向け装備移動か 大統領府はコメント拒否

  • 4

    「いま米軍が撃てば金正恩たちは全滅するのに」北朝…

  • 5

    北朝鮮「米行動なら全面戦争」、米ペンス副大統領は…

  • 6

    北朝鮮は戦争をしたいのか?したくないのか?

  • 7

    オバマ政権は北朝鮮ミサイル実験をサイバー攻撃で妨…

  • 8

    ISISの終わりが見えた

  • 9

    中国は米国に付くと北朝鮮を脅したか?――米朝戦争に…

  • 10

    北朝鮮「超強力な先制攻撃」を警告 トランプは中国…

  • 1

    25日に何も起こらなくても、北朝鮮「核危機」は再発する

  • 2

    「いま米軍が撃てば金正恩たちは全滅するのに」北朝鮮庶民の本音

  • 3

    ユナイテッド航空「炎上」、その後わかった5つのこと

  • 4

    北朝鮮に対する軍事攻撃ははじまるのか

  • 5

    米空母「実は北朝鮮に向かっていなかった」判明まで…

  • 6

    15日の「金日成誕生日」を前に、緊張高まる朝鮮半島

  • 7

    北朝鮮への米武力攻撃をとめるためか?――習近平、ト…

  • 8

    北朝鮮近海に米軍が空母派遣、金正恩の運命は5月に決…

  • 9

    オーバーブッキングのユナイテッド航空機、乗客引き…

  • 10

    ユナイテッド機の引きずり出し事件に中国人激怒、の…

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

日本再発見 「外国人から見たニッポンの不思議」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 別冊

0歳からの教育 知育諞

絶賛発売中!