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日産とルノー、関係維持のため政府も支援していきたい=菅官房長官

2015年12月01日(火)18時57分

 12月1日、菅義偉官房長官は会見で、日産自動車と提携する仏ルノーに対して、ルノーの筆頭株主である仏政府が経営への関与を強めようとしていることについて、「これまでの日産とルノーの関係が継続されるよう、関係者間で対話して一致点を見い出してもらいたい」と述べ、「日本政府としても必要なサポートはしっかりしていきたい」と語った。都内で2月撮影(2015年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 1日 ロイター] - 菅義偉官房長官は1日午前の会見で、日産自動車<7201.T>と提携している仏ルノーに対し、ルノーの筆頭株主であるフランス政府が経営への関与を強めようとしていることについて、「これまでの日産とルノーの関係が継続されるよう、関係者間で対話して一致点を見い出してもらいたい」と述べ、「日本政府としても必要なサポートはしっかりしていきたい」と語った。

仏政府がルノーへの議決権を拡大して経営介入姿勢を強めている問題をめぐっては、日産が11月30日午後に臨時取締役会を開き、対応策を協議した。同社は1日、同問題を議論したが、「現時点で決定した事実はない」と発表。また、対応策の手段の1つとして日本経済新聞が報じた日産が新株を発行する計画はないと否定した。12月のルノーの取締役会でもあらためて協議し対応策を決めるが、日産はルノーの自立性維持や日産・ルノー連合の経営活動への関与を避けるよう、仏政府に引き続き要請する方針だ。

仏政府は事前にルノー株の出資比率を15%から19.7%に引き上げ、ルノーが今年4月に開いた株主総会では、2年以上保有する株主に2倍の議決権を与えるフロランジュ法の採用を可決に導いた。この法律の適用により、仏政府のルノーへの議決権は来年4月には約28%まで高まる。日産はこうした仏政府の動きが間接的に日産への経営関与につながる恐れがあるとして、仏政府にこれまでも出資比率の引き下げや株式持ち合い比率の見直しなどを求めてきたが、仏政府は態度を変えていない。

10月27日にロイターが報じた関係筋の話では、日産はルノー株の買い増しなどによる対抗案を検討。日産は仏政府に対し、両社共同での意思決定で両社に同等の権利を付与することや、日産がルノー株を25%、ルノーが日産株を35%にするなど持ち合い比率の見直しに関する提案をすでに行っている。

現在、ルノーは日産株43.4%を握り議決権を保有する一方、日産はルノー株式15%の保有にとどまり、議決権がない。フランスの会社法では、40%以上の出資を受ける企業は出資元の議決権を持てない。ルノーの出資が40%未満に下がれば、日産は議決権を持つことができる。一方、日本の会社法では、日産がルノー株を25%以上持てば、ルノーの日産に対する議決権をなくすことができる。

*内容を追加します。

(白木真紀 取材協力:田実直美、金子かおり)

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