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設備投資が計画倒れにならぬよう後押し、官民対話テコに=甘利担当相
10月9日、甘利明経済再生担当相(写真)は閣議後の会見で、機械受注の動向などを踏まえた景気認識について、回復基調に変わりはないとの認識を示した。7日撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 9日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は9日午前、閣議後会見で、景気の現状認識について回復基調に変わりはないとの認識を示した。ただ、一部に弱さがあることも認め、とりわけ企業の設備投資について、計画倒れにならないよう、月内にも発足する「官民対話」で対応を進める考えを示した。
景気認識について甘利担当相は「全体の回復基調は変わりない」としながらも、構成する要件の「一部弱いところが続いているのは事実だ」と指摘。
設備投資動向について、日銀短観で企業の設備投資計画は上方修正されたが、「計画倒れにならないようにしっかり背中を押していきたい。プランはあるが実行できないと、緩やかな回復基調に陰りをさす」と警戒し、「今月中に行われるであろう官民対話をキックオフの機会にしたい」と述べた。
8日公表の8月機械受注は、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)が前月比5.7%減と3カ月連続で減少した。
<TPP関連大綱策定し、予算編成へ>
政府は閣議で環太平洋連携協定(TPP)の大筋合意を受けて総合対策本部の設置を決め、第1回会合を開いた。初会合では、1)TPPの活用促進による新たな市場開拓、2)TPPを契機としたイノベーションの促進・産業活性化、3)TPPの影響に関する国民の不安払拭──を基本目標とすることを決めた。
国内対策について甘利担当相は「経済再生、地方創生に直結するものとするため、総合的なTPP関連政策大綱を政府一体となって検討していく」方針を示し、できるだけ迅速に大綱を策定すると語った。
今後の段取りに関しては「影響効果を精査し、政策を策定し、予算編成していくことになる」と述べるにとどめ、対策の規模感について言及は控えた。
1990年代のウルグアイ・ラウンド対策事業費約6兆円に対して「ウルグアイラウンドが守りだったのに対して、TPPは農業を成長産業とする視点をもつ。成長産業になるために、地域の強みの強化策や、障害物をどう取り外していくか、後継者が意欲がもてる後押し策は何かなど、攻めをしっかり考えながら取り組む点が違う」と指摘。「今すぐ相当な額がいきなり必要なわけではない」とし、「ある程度の年月にわたった対応をしっかり組んでいく必要がある」とした。
緊急性の高い対策について補正予算で対応する考えについては「この段階でどういう形をとるか断定できない。緊急性、長期的視野で、何をすべきか。何が効果あるか。そのための政策効果を最大限出す一番よい政策と予算を組んでいくことになる」、「現時点で、いろいろな可能性を制約することはしない」などと述べ、含みを残した。
*内容を追加します。
(吉川裕子 編集:内田慎一)