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中国発の金融危機起こらない、買い入れ減額は妥当=木内委員
9月3日、日銀の木内登英審議委員は午後、青森市で記者会見し、中国発の世界的な金融危機が発生する可能性は少なく、日本の景気や物価が下振れても追加緩和の効果は限定的と指摘した。都内の日銀本店前で4月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)
[青森市 3日 ロイター] - 日銀の木内登英審議委員は3日午後、青森市で記者会見し、国際金融市場の急変は、中国当局の政策対応能力が懸念されているためと指摘した。しかし中国発の世界的な金融危機が発生する可能性は少ないとし、日銀の追加緩和は効果が限定的と強調。
国債買い入れ額を現在の年80兆円(残高ベース)から45兆円に減額する従来提案を続けるのが妥当と言い切った。
木内氏は「中国の金融市場は世界からやや乖離(かいり)している」ほか、「世界的に金融緩和状態が続いている」ことを理由に、「中国発の世界的な金融危機はなかなか起こらない」との見解を示した。
同時に「世界の株式市場が中国市場と連動して不安定化しているのは、中国が世界経済に大きなリスクだから」と指摘。「中国当局が政策でリスクを軽減できるか、との心配が浮上している」と解説した。中国当局が構造改革と両立した形で景気対策を打ち出せば「市場の信頼を回復する」と述べた。
米利上げ判断をめぐっては「米国が新興国への影響を通じた自国への影響も考慮して判断する」と述べた。利上げが実施されても「すでに市場で十分予見されているため、日本への影響は大きくない」との見解も示した。
中国経済の影響で「今の時点、日本経済に下方リスクがある」と指摘したが、現行の「量的・質的緩和(QQE)」は「1─2年先ではなく、10─20年先の副作用を考慮する必要がある政策」だとして、「緩和強化との発想には私はならない」と言い切った。
理由として「QQEの効果自体はかなりてい減しており、追加的な買い入れ増額の効果は限定的」と説明した。
仮に「グローバルな金融危機となれば、金融機関は安全資産にシフトし国債の需要が非常に増え、日銀の増額で国債需給がさらにひっ迫。QQE政策の持続性がさらに落ちてしまう」との懸念を挙げた。
2013年に米国が緩和縮小を打ち出した際、「新興国市場に大きな影響を与えたが、米市場は早期に回復した」と指摘。日銀が国債買い入れの減額に踏み出しても、市場への影響は限定的との見方を強調した。
*内容を追加します。
(竹本能文 編集:内田慎一)