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米GDP第2四半期大幅に上方修正、改定値3.7%増

2015年08月28日(金)03時01分

 8月27日、第2・四半期の米GDP改定値は3.7%増と、大幅に上方修正された。写真はバージニア州の小売店で2008年5月撮影(2015年 ロイター/Molly Riley)

[ワシントン 27日 ロイター] - 米商務省が27日発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)改定値は、年率換算で前期比3.7%増となり、速報値の2.3%増から大幅に上方修正された。経済には比較的勢いがあることを示し、米連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げ可能性を示唆した。

市場予想は3.2%増だった。

PNCフィナンシャル・サービシズの首席エコノミスト、スチュアート・ホフマン氏は「FRBは最近の市場の混乱に言及して年内の利上げ時期を後にずらす可能性が確かにあるものの、経済ファンダメンタルズを考えれば9月利上げの可能性も多少残っている」と述べた。

在庫投資が1211億ドルと、速報値から110億ドル超の上方修正となった。在庫寄与度は速報値のマイナスの0.08ポイントからプラス0.22ポイントへと改定された。在庫の積み増しは、第3・四半期の成長の足かせとなる可能性があるが、資本財の企業投資の持ち直しがそれを和らげる可能性がある。

第1・四半期GDPは0.6%増だった。上半期は2.2%増となり、前年の1.9%増から伸びを拡大した。

統計の発表を受け、米国債は値下がりした。株価指数先物価格は伸びを維持、ドルは主要通貨に対して上昇した。

世界的な株価急落の直後に発表されたGDP改定値は、慎重派の政策当局者や投資家に対して、世界経済が弱含んでも米国は耐え得る力があるとの自信を与える内容となった。

中国経済の減速を懸念して、先週から株価が世界中で急落。FRBによる9月の利上げには懐疑的な見方が浮上した。米ニューヨーク連邦準備銀行のダドリー総裁は前日、9月の利上げについて「数週間前と比べて切迫度が減っているようだ」との見方を示していた。

27日発表のGDP改定値では、貿易、在庫、政府支出を除いた国内民間需要が3.3%増え、経済に基調的な底堅さがあることを示した。速報値は2.5%増だった。

経済活動の3分の2以上を占める個人消費支出は3.1%増と、速報値の2.9%増から上方修正された。第3・四半期も出だしは好調で、7月の小売売上高は大幅に伸びた。

雇用市場の引き締まりとガソリン安、比較的高い住宅価格が、家計資産を押し上げ、個人消費を下支えしている。

同じ日に米労働省が発表した22日までの週の失業保険申請件数は前週比6000人減の27万1000人と、雇用状況に明るい兆しがみえる内容だった。30万件を切ると雇用市場が引き締まっていることを示すとされるが、新規申請件数は25週連続でこのラインを下回っている。

このほかGDP改定値では、インフラ投資が3.1%増と、速報値の1.6%減からプラスへと転じた。商業やヘルスケア関連の支出が増えた。住宅投資は7.8%増で、速報値の6.6%増から上方修正。機器への投資の落ち込みは速報値ほど大きくはなかった。

エネルギー部門は引き続き経済の足かせとなった。原油が昨年から6割を超える値下がりとなる中で、シュルンベルジェやハリバートンなど石油関連企業は投資を大きく削減している。

GDP統計によると、鉱業や石油探索、立坑・油井への投資は68.3%減で、1986年の第2・四半期以来の大幅なマイナスとなった。

貿易赤字は速報値ほど大きくなかった。寄与度は0.23ポイント。

企業の税引き後利益は1.3%増と、第1・四半期の7.9%減から持ち直した。ドル高が多国籍企業の業績を圧迫している。

*内容を追加して再送します。

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