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G7にギリシャ危機が影、IMFトップはユーロ離脱の可能性認める

2015年05月29日(金)08時36分

 5月28日、主要7カ国(G7)が独ドレスデンで開いている財務相・中央銀行総裁会議では、ギリシャ危機が暗い影を落としている。写真は会議に集まった各国の財務相ら(2015年 ロイター/Fabrizio Bensch)

[ドレスデン(ドイツ) 28日 ロイター] - 主要7カ国(G7)が独ドレスデンで開いている財務相・中央銀行総裁会議では、ギリシャ危機が暗い影を落としている。まだら模様となっている世界経済の回復状況に懸念が強まる一方で、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性はあると警告した。

ギリシャ問題は28日の討議で公式議題とはなっていなかったが、来週に支払期限を迎えるギリシャ危機に対する政策当局者の関心は高かった。

IMFのラガルド専務理事は独フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙に対し、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性はあるが、その場合でもユーロ圏は崩壊しないとの見解を示した。

複数の当局者は、ギリシャがデフォルト(債務不履行)しても、債務の大半はユーロ圏の各国政府が保有しているため、数年前に考えられていたような金融市場への打撃はないと指摘する。

しかし、米政府はこれまで、2008年のリーマン・ブラザーズ破綻で引き起こされた危機の規模を想定していた向きはほとんどいなかったと指摘し、そうした無頓着さに警告を発している。

関係筋によると、G7各国は会議の合間、ギリシャに関する話題で持ちきりだという。

27日にはギリシャ政府が債権団と合意書策定に着手したと表明。だが、欧州当局者らが直ちに「希望的観測」として否定する一幕もあった。

欧州連合(EU)高官は28日、IMFに対する3億ユーロの返済期限をギリシャが6月5日に迎えるなか、日夜協議を続ける必要があると述べた。

欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務担当)は「協議は過去3カ月間よりも、この3週間のほうが進展した。ただ、合意には至っておらず、残された時間は少ない」と述べた。

<足元の円安は「荒い動き」>

麻生太郎財務相は28日、足元の円安進行について「荒い動き」とし、為替相場を注視していく考えを示した。外国為替市場で急ピッチで進む円安をけん制した。

G7財務相・中央銀行総裁会議の合間に記者団に語った。

麻生財務相は一段の円安が進んだ場合の日本経済への影響を問われ、ここ数日の円安について「荒い動きがあると見ているが、今後も市場の動きを注意深く監視していきたい」と述べた。

また、同日のG7会議では、為替に関し議論しなかったと語った。

ルー米財務長官との会談では、為替について、G7と20カ国・地域(G20)声明でのコミットメントを再確認したことを明らかにした。

ロイター
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