ニュース速報

ビジネス

ギリシャ支援協議、なお膠着

2015年05月06日(水)05時30分

5月5日、ギリシャのIMF融資返済期限が12日に迫るなか、バルファキス財務相がブリュッセルで欧州委員会のモスコビシ委員と会談するなどの動きがあったが、難航する支援協議の着地点は依然として見えていない。写真は同日、ブリュッセルのEU本部を訪問するバルファキス財務相。(2015年 ロイター /Yves Herman)

[アテネ/ブリュッセル 5日 ロイター] - ギリシャの国際通貨基金(IMF)融資返済期限が12日に迫るなか、5日はギリシャのバルファキス財務相がブリュッセルで欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務担当)と会談するなどの動きがあったが、難航する支援協議の着地点は依然として見えていない。

バルファキス財務相はモスコビシ委員との会談後に記者団に対し、来週11日のユーロ圏財務相会合で、支援の見返りにギリシャに実施が求められている一連の改革案の進展に理解が示されるとの見通しを表明。「11日の会合では実りある議論が行われ、最終合意に向けさらに前進できると考えている」と述べた。

ただこれに先立ちモスコビシ委員は、ギリシャが「首尾一貫性があり、詳細で完全な」経済改革プログラムについて債権団と合意しない限り、長期的な資金援助について協議を開始することもできないと言明。両者の溝が深いことが示唆された。

またこの日は、ギリシャ政府当局者が難航する支援協議について、欧州連合(EU)とIMFとの間に「深刻な」政策上の相違が存在しているため、ギリシャは譲歩できなくなっているとの見解を表明。

同当局者は、IMFは年金や労働問題、欧州側は財政黒字に主眼を置いており、こうした相違を背景にギリシャは譲歩ができなくなっていると指摘。「責任は見解を調整できていない(EUとIMFといった)機関側にある」と非難した。

実際、IMF、EU、欧州中央銀行(ECB)の間で協議が続けられているが、年金、労働改革、最低賃金などに関する見解の相違は埋まっていない。

ECBは6日にギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)をめぐる週間見直しを実施。これに先立ち、この日はギリシャのドラガサキス副首相がフランクフルトを訪れ、ECBのドラギ総裁と会談した。

ECBは声明で、ギリシャの経済情勢と欧州側との協議の進捗状況を検証したとしたが、これ以上の詳細については明らかにしなかった。

12日に9億7000万ユーロのIMF融資の返済期限が迫るなか、この日はIMFの欧州担当責任者のポール・トムセン氏が欧州諸国がギリシャ債務を軽減しない限りギリシャに対する資金援助を断つ構えを見せたとの英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の報道を受け、ギリシャの株式と国債が大幅に売られるなどの動きも出た。

ドイツはギリシャが債務不履行に陥ったりユーロ圏から離脱したりしても、2012年にこうしたことが起きていた場合と比べると影響は抑制できるとの見解を示しているが、フランスやイタリアなどは警戒感を高めている。

フランスの経済財政相を務めた欧州委のモスコビシ委員はこの日、欧州委はギリシャをユーロ圏にとどめることを目標としていると強調。

イタリアのジェンティローニ外相は記者団に対し、「イタリア政府はギリシャ危機を過小評価することは近視眼的で危険だと見なしている」とし、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性について軽視することがあってはならないとクギを刺した。

ロイター
Copyright (C) 2015 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中