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ギリシャ支援協議、なお膠着
5月5日、ギリシャのIMF融資返済期限が12日に迫るなか、バルファキス財務相がブリュッセルで欧州委員会のモスコビシ委員と会談するなどの動きがあったが、難航する支援協議の着地点は依然として見えていない。写真は同日、ブリュッセルのEU本部を訪問するバルファキス財務相。(2015年 ロイター /Yves Herman)
[アテネ/ブリュッセル 5日 ロイター] - ギリシャの国際通貨基金(IMF)融資返済期限が12日に迫るなか、5日はギリシャのバルファキス財務相がブリュッセルで欧州委員会のモスコビシ委員(経済・財務担当)と会談するなどの動きがあったが、難航する支援協議の着地点は依然として見えていない。
バルファキス財務相はモスコビシ委員との会談後に記者団に対し、来週11日のユーロ圏財務相会合で、支援の見返りにギリシャに実施が求められている一連の改革案の進展に理解が示されるとの見通しを表明。「11日の会合では実りある議論が行われ、最終合意に向けさらに前進できると考えている」と述べた。
ただこれに先立ちモスコビシ委員は、ギリシャが「首尾一貫性があり、詳細で完全な」経済改革プログラムについて債権団と合意しない限り、長期的な資金援助について協議を開始することもできないと言明。両者の溝が深いことが示唆された。
またこの日は、ギリシャ政府当局者が難航する支援協議について、欧州連合(EU)とIMFとの間に「深刻な」政策上の相違が存在しているため、ギリシャは譲歩できなくなっているとの見解を表明。
同当局者は、IMFは年金や労働問題、欧州側は財政黒字に主眼を置いており、こうした相違を背景にギリシャは譲歩ができなくなっていると指摘。「責任は見解を調整できていない(EUとIMFといった)機関側にある」と非難した。
実際、IMF、EU、欧州中央銀行(ECB)の間で協議が続けられているが、年金、労働改革、最低賃金などに関する見解の相違は埋まっていない。
ECBは6日にギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)をめぐる週間見直しを実施。これに先立ち、この日はギリシャのドラガサキス副首相がフランクフルトを訪れ、ECBのドラギ総裁と会談した。
ECBは声明で、ギリシャの経済情勢と欧州側との協議の進捗状況を検証したとしたが、これ以上の詳細については明らかにしなかった。
12日に9億7000万ユーロのIMF融資の返済期限が迫るなか、この日はIMFの欧州担当責任者のポール・トムセン氏が欧州諸国がギリシャ債務を軽減しない限りギリシャに対する資金援助を断つ構えを見せたとの英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の報道を受け、ギリシャの株式と国債が大幅に売られるなどの動きも出た。
ドイツはギリシャが債務不履行に陥ったりユーロ圏から離脱したりしても、2012年にこうしたことが起きていた場合と比べると影響は抑制できるとの見解を示しているが、フランスやイタリアなどは警戒感を高めている。
フランスの経済財政相を務めた欧州委のモスコビシ委員はこの日、欧州委はギリシャをユーロ圏にとどめることを目標としていると強調。
イタリアのジェンティローニ外相は記者団に対し、「イタリア政府はギリシャ危機を過小評価することは近視眼的で危険だと見なしている」とし、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性について軽視することがあってはならないとクギを刺した。