コラム

いま、日本株は「大バーゲン」。藤野英人が「ムズムズする」と語る理由

2023年02月28日(火)18時43分
藤野英人

「お金のまなびば!」より

<混沌とした社会情勢下だが、2023年は投資を始めるのに良い時期なのか? レオス・キャピタルワークスの藤野英人氏と、経済リサーチの専門家、三宅一弘氏が答える>

人事異動や転居など、環境や心境に変化が訪れやすい春。新たなステージに一歩踏み出す際は誰しも恐怖心を覚えるものだが、そんな時に心がけたい「3つの原則」とは何か。

日本の資産運用会社、レオス・キャピタルワークスは「2023年、お金を増やすために始めたいことは?」と題した街頭調査を行った。この問いに対し、「貯金」と答えた人が18人、「副業」が15人、「投資」14人、「ギャンブル」は0という結果になった。

同社のYouTubeチャンネル「お金のまなびば!」の動画「2023年に投資を始める人へ贈る『3つの原則』」では、最高投資責任者の藤野英人氏、運用本部経済調査室長の三宅一弘氏がこの結果に「時代を感じる」と一言。

10年前、20年前なら、おそらくほとんどの人が「貯金」と回答していただろう。貯金・副業・投資がほぼ横並びになったことから、人々のお金や働き方に対する意識の変容が垣間見える。

2022年は世界的に株相場が混乱し、日本株も低水準で推移した。混沌とした社会情勢下では投資を始めづらいと感じる人も多いだろうが、一般的には株価などが低い時にたくさん買ったほうが、その後上昇基調に転じた時にリターンを得やすい。

企業の収益に対して現在の株価が割安か割高かを判断する指標の1つにPER(株価収益率)があり、三宅氏によると2022年の日本株はPERが過去最低に近い水準となった。日本株が割安になっている要因として、三宅氏は2つの理由を挙げる。

「1つは、2022年に金融引き締めを加速したアメリカなどに対し、相対的に優位な日本のマクロ環境。もう1つはガバナンス改革の進展による企業価値の向上だ。自社の企業価値を着実に上げようと努力する経営者、それに魅力を感じて投資する機関投資家が経済の好循環を生み出す。マクロの環境が整い、個々の企業のミクロレベルでも良い状態になっている」

今は企業価値に対して低い株価が付けられている状態だが、「アメリカを中心とした金融政策が変われば、底入れから回復局面に入っていくのではないか」と三宅氏は予想する。

プロフィール

藤野英人

レオス・キャピタルワークス 代表取締役会長兼社長、CIO(最高投資責任者)
1966年富山県生まれ。国内・外資大手資産運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年にレオス・キャピタルワークスを創業。日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ投信」シリーズを運用。投資啓発活動にも注力しており、東京理科大学MOT上席特任教授、早稲田大学政治経済学部非常勤講師、日本取引所グループ(JPX)アカデミーフェロー、一般社団法人投資信託協会理事を務める。主な著書に『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)、『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『さらば、GG資本主義――投資家が日本の未来を信じている理由』(光文社新書)など。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル34年ぶり155円台、介入警戒感極まる 日銀の

ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わら

ビジネス

独IFO業況指数、4月は予想上回り3カ月連続改善 

ワールド

イラン大統領、16年ぶりにスリランカ訪問 「関係強
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴らす「おばけタンパク質」の正体とは?

  • 2

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 3

    マイナス金利の解除でも、円安が止まらない「当然」の理由...関係者も見落とした「冷徹な市場のルール」

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 6

    ケイティ・ペリーの「尻がまる見え」ドレスに批判殺…

  • 7

    イランのイスラエル攻撃でアラブ諸国がまさかのイス…

  • 8

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    コロナ禍と東京五輪を挟んだ6年ぶりの訪問で、「新し…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story