『アステイオン』本誌

2016/5月発売
vol084

特集:帝国の崩壊と呪縛

2016/5発売

2016年は、1916年に合意されたサイクス=ピコ協定から100年の節目にあたる。おりしもサイクス=ピコ協定を基礎にして引かれた中東の国境線と国家の溶解が進み、中東の地域秩序が揺らいでいる。揺らぎは一時的・過渡期的なものなのだろうか。あるいはあってはならない異常事態なのだろうか。むしろ、われわれは近代の歴史を帝国の崩壊、それも繰り返し起こる崩壊として見てみることで、視界が開けるのではないか。

目次

【特集】

  • 巻頭言池内 恵
  • 現代イスラム政治研究者ジル・ケペルに聞く
    ――欧州ホームグロウンテロの背景
    国末憲人
  • 溶解する中東の国家、拡散する脅威池田明史
  • ロシアにとっての中東――新たなパワーゲームへの関与小泉 悠
  • 帝国の落とし子、未承認国家廣瀬陽子
  • 清朝の崩潰と中国の近代化岡本隆司
  • 古代トルコ系遊牧民の広域秩序齊藤茂雄
  • 国民国家の試練――難民問題に苦悩するドイツ森井裕一

【論考】

  • 噓の明治史――福地櫻痴の挑戦五百旗頭薫
  • 民主化後のミャンマー――期待と現実マリー・ラル
  • 沖縄の護国神社宮武実知子
  • 領域を超えない民主主義?――広域連携の困難と大阪都構想砂原庸介

【写真で読む研究レポート】

  • 愛しの木琴デイズ通崎睦美

【地域は舞台】

  • 歴史を今に 弾けよ! ロマンとソロバンの街・松阪
    ――あいの会「松坂」(三重県松阪市)
    御厨 貴

【特別企画インタビュー】

  • 鋭く感じ、柔らかく考えてきた三十年山崎正和+苅部 直

【特別企画】

  • 世界の思潮の把握と日本からの知的発信の試み田所昌幸
  • 根源的な思考と時代の省察苅部 直
  • 技術至上の現代になぜ文学芸術が大切か張 競
  • 歴史の教養と外交の叡智、冷戦後世界を見通す三人の歴史家細谷雄一
  • 日本政治論の不在から、自律した政治学に基づく発信へ待鳥聡史

【世界の思潮】

  • 日本はどこまでアジアか――東アジア「近世化」論争小川和也
  • ゲーム研究の現在――「没入」をめぐる動向吉田 寛
  • 第一次世界大戦と日本奈良岡聰智

【時評】

  • 渡辺崋山と「徳川の平和」芳賀 徹
  • 経済発展は文化の母か高階秀爾
  • 「グローバル化以前」の国際化―― 一九六四年東京オリンピック・再論渡辺 裕
  • 草取りと日本人藤森照信
  • コレクターと眼の老化奥本大三郎

【連載】

  • リズムの哲学ノート――第七章 リズムと「私」山崎正和
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