夫と対等以上に稼ぐ妻の割合、日本は世界最低レベル

2018年11月21日(水)17時50分
舞田敏彦(教育社会学者)

配偶者控除というと、反射的に妻の所得が問題にされるが、夫の方が就業調整をしている夫婦もある。主な稼ぎ手は妻という夫婦だ。日本ではこういう夫婦は少数だが、海外はそうではない。<図2>は、夫と対等以上の収入がある妻の割合を高い順に並べたグラフだ。25~54歳の既婚女性の回答による。

日本はわずか5.6%だが、アメリカは34.8%、フランスは40.4%、インド・ポルトガル・スイスでは半数以上の妻が夫と対等以上に稼いでいる。日本の状況は普遍的ではなく、国際的にみるとアブノーマルな部類だ。ジェンダーフリー教育の一環として、こういうデータを生徒に見せてはどうだろうか。日頃目にしている光景が普遍的ではないことを、はっきりと理解することが重要だ。

労働力不足の時代にあって、配偶者控除のラインがああだこうだと言って、女性の稼得(就業)を抑え込んでいる場合ではない。個々の家庭で見ても、夫婦の二馬力でないとやっていけない。それが不可能でないことは、今回の国際比較のデータから見れば明らかだ。

<資料:OECD「PIAAC 2012」
ISSP「Family and Changing Gender Roles IV - ISSP 2012」

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